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禁煙教育から防煙教育へ その1/池上 彰氏がブレイクした訳

2012年02月06日

最近、医師会などから「防煙教育」の話法についての問い合わせが増えた。
現在、教育現場では「禁煙教育」ではなく「防煙教育」という表現が用いられている。
タバコを一度、吸い始めると禁煙することは難しい。
そこで「防煙教育」とは、最初から子ども達をタバコの煙に触れさせないという発想である。
元喫煙者の筆者にとって、このような依頼が来るのは少々心苦しい。
学生時代は、喫煙者が大多数をしめていた。

しかし、現在では“健康不安”や“患者さんの目”を意識してほとんどが止めている。
筆者もタバコを止めるのに苦労した一人である。
このような背景から医師会でも、学校で話して欲しいという依頼が増えているそうだ。
しかし、子ども達に聞かせる話をすることは難しい。
タバコの弊害と言えば、「肺がんなどの病気の原因になる」と言う話になる。
しかし、これらは誰もが知っている話である。
たいくつな話になると、急に教室がざわついてしまう。だから子どもを引きつけるための楽しい話法を知りたいとのことだ。

筆者は20数年間、小・中学校の各学年を相手に歯の健康教育を行ってきた。
それぞれの学年で、「どの程度の理解力か?」「どのような内容に興味を持っているのか?」などを考え工夫して話してきた。
今回の防煙教育の話法も、歯の延長にあるのだろう。

そう言えば現在、テレビ番組で大ブレイクしている池上 彰氏。
“週間子どもニュース”(NHK)で、子どもでもわかるように話してきたことが、大人にも通じブレイクしている理由だとおっしゃる。
わかりやすい話を心がけることは、極めて重要だ。
そこで筆者が、多用しているのは“クイズ”である。

クイズ形式にすると誰もが耳を傾けてくれる。
しかし、クイズを作るためには資料探しが重要だ。
さて、防煙教育につながる資料を探していたら“ある記事”が目にとまった。
「鍛え上げられた肉体でボクシング映画にも登場するアメリカのアクションスターのS氏。タバコ会社から映画で喫煙シーンを入れると50万ドルものお金を受け取っていたことが発覚したのである。」
(注1・2)

注1:週間東洋経済 2007/3/24
注2:カルフォルニア大学が公開している内部文書
⇒ http://legacy.library.ucsf.edu/tid/mfs93f00/pdf

この記事を見た途端。
「これはクイズに使える!」と思った。
例えば某アクションスターのS氏。映画で“あるシーン”をすると、某社から高額の謝礼を受け取っていたことが発覚した。
さてどんなシーンだろう?
1:ボクシングシーン
2:戦闘シーン
3:喫煙シーン
いかがだろう?このように展開すると、誰もが聞きたくなるだろう。
導入は、これで充分だ。

でもどうしてタバコ会社は、かくも多額の謝礼を払うのだろう?そう!それを見た子どもが“カッコいい”と思い吸い始めるのだ。
読者の中には、昔“某警察”番組を見たことで、吸い始めた方もおられるかもしれない。
このようなきっかけで吸い始めた子ども達は、それが習慣化し某社にとって上得意となる。
どうやら、現在の日本。
人を化かす“タヌキ”や“キツネ”は、野山で見ることはなくなったが、“テレビ”や“映画”で生息しているようである。

続きは次回。

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