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動物園の動物達も高齢化【3】トラの歯周病

2018年11月16日

動物園の動物達も高齢化が進んでいる。

そのため獣医は、かつて見られなかった病が増えているという。
それは歯の外傷や歯周病である。
これは昨年亡くなった、日本最高齢のベンガルトラ。(図1)

人間の年齢になおすと100歳を超える。
このトラも歯周病で悩まされていたのだ。

さて歯周病について述べる前に、トラの歯の特徴について記しておく。
ネコ科動物の歯式は、前歯3/3、犬歯1/1、前臼歯(小臼歯)3/2、後臼歯(大臼歯)1/1。(注 上顎/下顎)
これが左右あるので、総歯数は30本となる。
そして、上顎の最後の前臼歯と下顎の大臼歯が最も発達している。
これを”裂肉歯”と呼ぶ。
文字通り、肉を引き裂くための大きく尖った歯である。(図2)

咬合を見ると、ヒトのように上下の臼歯が咬み合っていない。
トラは、この歯でハサミの様に、肉を切って食べていることがわかる。(図3)

さて、このトラの骨格標本が動物園に展示されていた。
上顎左側の牙が、横に置かれていた。
その歯根には、おびただしい歯石が付いていた。(図4)

牙を歯槽窩に戻してみたが、歯槽骨の吸収が激しく復元することができない。
この牙は、亡くなる半年前に脱落したそうだ。
飼育員の方にお聞きすると、常に右側を下にして食べていたとのこと。
牙の脱落により、左側で咬めなかったことがわかる。(図5)

理由は不明だが、肉食獣は、牙と上顎の最後臼歯に歯石が付きやすいと書かれていた。
トラも高齢になると、歯石除去が必要なことがわかる。

続く

前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
http://leo.or.jp/Dr.okazaki/