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動物園の動物達も高齢化【8】実 VS.種

2019年02月01日

野生のサルにスイカを与えると”種”から食べる。

我々は実から食べるのに、どうしてサルは種から食べるのか?
(図1)

そもそも、実と種はどう違うのだろう?

まず果物を例に考えてみよう。
さて一般的に、果物などの食べる部分を実、中の種を種子と呼ぶ。
正確には、受粉した後、めしべの”子房が膨らんだものが果実”。(注)
子房の中で”胚珠が成長したものが種子”である。
種子は種皮で覆われ、芽や根はこの部分で作られる。
(図2)

さて美味しい果実は、動物に食べてもらうために進化した。
動くことのできない植物は、種子を運んでもらうための工夫が必要だった。
そこで植物は、光合成により糖分を作り出し子房に貯める。
だから果実は、甘くて臭いも良い。
一方、種皮を硬くし消化されないようにする。
これを動物が食べ、遠くで糞をして発芽する。
そして生育地域を広げる。
これは植物の生き残り作戦である。

そう言えば、野菜の嫌いな子どもが多い理由。
果物とは違い、「食べてもらいたくない」からだ。
野菜の食べる部分は、植物の葉や根が多い。
ここは、光合成に必要であると同時に、栄養の貯蔵庫でもある。
従って、食べられたら生命に関わる。
だから苦みや臭いを作り出して体を守る。

さて、話をスイカの種に戻す。
中国では、種を大きくする研究があるらしい・・。
日本とは、正反対だ。
日本人は種を取るのが面倒だ。
そこで種なしスイカを作り出す。
しかし中国では、”酒のつまみ”や”おやつ”にして食べる習慣がある。
前歯で種の殻を割って食べる。
そのため前歯が摩耗し、切端が凹型になっている方が多い。
実際、中国の物産館ではカボチャやヒマワリの種が並んでいる。
(図3)

ここでカボチャの種と実のカロリーを比べてみよう。
(カロリーSlismより算出 http://calorie.slism.jp/)
種は、圧倒的に実を上回っていた。
西洋カボチャ(100g)は91kcalに対し、カボチャの種(100g)では574kcal。
実に種は、5倍以上カロリーが高い。
(図4)

種は”命を繋ぐもの”であるから、栄養があるのも当然といえる。

サルは、どの部分がもっとも栄養豊富なのか本能的に知っているのだ。
もちろん我々も、毎日多くの種を食べている。
おそらく読者も食べたはずだ!
さて、何の種だろう?
(続く)

欄外 注:裸子植物(マツ,スギ,ソテツ,イチョウ)の名前は,子房を持たないので胚珠が露出していることに由来する。(つまり,めしべと呼ばれる構造を持っていない。)
そのためイチョウのギンナンは種である。

 前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
http://leo.or.jp/Dr.okazaki/