2015年09月07日
前回、生野菜はスティック状にするだけで噛む回数が増えると述べた。
また、ご飯には“ふりかけ”や“ちりめんじゃこ”などを少し混ぜると増えると言う。
そこでご飯で実験を行った。
まずご飯100グラムを食べてみた。
噛む回数を測ると353回であった。
次に、雑穀米で調べてみると526回になった。
さらに、炊き込みご飯にすると660回と約2倍に増えた。
(図1)
ご飯には、他の食材を加えると噛む回数が増えることがわかる。
今度は、玉子とハム入りのサンドイッチで試してみた。
まず、パンのミミを切ったサンドイッチを食べてみた。
すると、一切れ130回で食べ終えた。
次に、ミミ付きのもの。
ついでに、ミミを切って焼いたもの。
両者を比べてみた。
筆者は、この結果に驚いた。
ミミ付きは202回で約1.5倍。
ところがミミなしでも焼けば236回と約1.8倍になったのである。
(図3)
これまで、ミミ付きにすれば噛む回数が増えると話してきた。
リンゴでも皮をつけると回数が約2倍になる。
しかも前歯も使って食べることは、極めて重要だと述べてきた。
しかし、焼いた方が噛む回数が増えたのである。
どうしてなのかを考えてみた。
それは食物中の水分量の問題だ。
パンを焼き水分を飛ばすと、飲み込み難くなる。
そこで、多量の唾液と混ぜ合わさなければならない。
そのためには、よく噛んで唾液を出す必要があるのだ。
そう言えば進化の観点から大唾液腺は、哺乳類になってから出現する。
そもそも漿液性唾液は、乾燥した食物が口腔や食道を傷つけないように発達してきたものである。
だから水分の少ない食物は、噛む回数が増えるのだ。
もちろん、飲み物を飲まずに食べることが前提である。
最後に、ミミ付きで焼いたサンドイッチを食べてみた。
これが最も噛む回数が多い。
しかし今回の実験は、筆者にとって非常に勉強になった。
食物中の水分量は、想像以上に咀嚼回数に大きく影響したのだ。
前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
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