2014年10月04日
まず最初に、顎咬合学会の公開動画を見ていただきたい。
「噛むことと生きること(小児編)」
(以下の画像をクリックすると外部ページへリンクします)
図1
口唇で上手に捕食できない健常児。
その理由は、離乳食を口の中に入れて与えていたためだろう。
捕食をさせなかったことが上口唇の動かない原因だ。
上口唇が伸びないと、どんな問題がでてくるだろう?
少し実験をしていただきたい。
今コップの水を飲むとする。
まずコップを下口唇につける。
その後、上口唇をどうするだろう?
前に伸ばしてコップの水面に触れる。
そして上下の口唇のわずかな隙間から、水をすすろうとする。
さらにその水を塊にまとめて、喉に送り嚥下する。
でも上口唇が動かないと、どうなるだろうか?
水を飲むためには、コップを傾けねばならない。
それに伴って、顔も上に向けなければならない。
そして、水を流し込むような飲み方になる。
図2
しかも、口唇は取り込む量も調整している。
口が開いたままだと、一気に多量の水が流れ込む。
水を塊にまとめることができずムセてしまう。
そこで飲むためには、微妙な呼吸調整も必要となる。
上口唇が伸びないと水をすすれないことがわかる。
これでは、お茶やコーヒーを飲むにも苦労する。
味噌汁だってそうだ。
鍋焼きうどんも食べにくい。
汁が熱ければ、口の中を火傷することだろう?
図3
ソバだってすすりにくい。
口唇は、かくも重要な役割を果たしている。
離乳食を捕食させること、かくも大きく摂食機能に影響する。
前 岡山大学病院 小児歯科 講師
モンゴル健康科学大学(旧:モンゴル医科大学) 客員教授
歯のふしぎ博物館 館長(Web博物館)
岡崎 好秀
⇒ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/