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捕食と咀嚼 その【4】 上手な介助者?

2014年08月28日

あなたが小さなスプーンでヨーグルトを食べることをイメージしていただきたい。
(図1)
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スプーンの先が、最初に当たるのはどの部分だろう?

そう! 下口唇である。

続けて、上口唇が伸びヨーグルトを取り込む。

取り込まれたヨーグルトは、舌尖に置かれているはずだ。

そして舌が挙上しスポットに当たることで、ぜん動用運動が始まりヨーグルトを嚥下する。

さて次に、あなたは、Aさんにヨーグルトを介助して与えられるとする。

Aさんは、取り込みやすいようにスプーンを下口唇の上に置いた。

すると、上口唇を伸ばす必要がなく軽く閉じるだけだ。

あなたは、舌も軽く拳上し嚥下することができた。

今度は、Bさんにヨーグルトの介助をしてもらった。

Bさんは、スプーンを下口唇のすぐ手前で止めた。

ヨーグルトを取り込むためには、まず上下の口唇を伸す必要がある。

前から眺めると、口唇を少し丸くしているように見えるだろう。

同時に舌も前に伸ばし、正中部は軽く陥凹させている。

下口唇がスプーンに届くと、上口唇を伸ばしヨーグルトを取り込むことができた。

そして舌が拳上し嚥下した。

最後に、Cさんにも介助をしてもらった。

Cさんは、スプーンを下口唇のさらに手前で止めた。

口唇を伸ばしても、ヨーグルトには届かないので、頭部を少し前に出した。

するとCさんは、スプーンを少し引いた。

こうされると体幹を前に出した。

上下の口唇は、さらに伸ばさねばならぬ。

口唇は、さらに丸く小さくなって見えるだろう。

舌もさらに伸ばし、正中部は陥凹しているだろう。

下口唇がスプーンに届くと上口唇を伸ばし、かろうじてヨーグルトを取り込むことができた。

やっとのことでヨーグルトにありついた。

さて3名の介助者。

誰が上手な介助者なのだろうか?

もう一度、前回の動画を見ながら考えていただきたい。

「噛むことと生きること(小児編)」
(図2)
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続く

前 岡山大学病院 小児歯科 講師
モンゴル健康科学大学(旧:モンゴル医科大学) 客員教授
歯のふしぎ博物館 館長(Web博物館)
岡崎 好秀
⇒ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/