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受動喫煙による小児の歯肉色素沈着 その2

2014年01月17日

小児の受動喫煙の状態は、尿中コチニン量で推定が可能である。
さて受動喫煙は、小児の齲蝕とも関係する。
家族の喫煙状況と3歳児歯科健診での齲蝕罹患率の関係である。
喫煙者がいる家庭では、齲蝕罹患者率が高いのだ。
なかでも母親の喫煙との関係が強いことがわかる。
(図1)
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やはり一緒にいる時間が長いからか・・・。
これを裏付ける資料が目についた。
母親の喫煙状況と小児の尿中コチニンの関係である。
自動車中の喫煙により、コチニン量が約4倍も多いのだ。
(図2)
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そう言えば歯科検診時、歯肉の色素沈着が著しい子ども小児に「家で誰かタバコ吸っている人いる?」と聞いた。
すると「うん!幼稚園へ来る時、車でいつも吸っている」と答えが返ってきた。
車中など閉鎖の空間での喫煙は、特に問題が多いことがわかる。

次に、受動喫煙と3歳児の齲蝕罹患者率である。
尿中コチニン量が多い小児は、2倍近くも罹患者率が高い。
(図3)
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でも受動喫煙と齲蝕罹患状態は、なぜ関係するのだろう?
よく言われるのは、喫煙と健康意識との関係である。
しかし、他にも唾液分泌量や性状の変化が考えられる。
タバコに含まれるニコチンは、末梢血管を収縮させる。
このことは、唾液分泌量や緩衝作用の低下にもつながる。
何せ唾液は、水より1万~10万倍も中性に戻す性質が強い。
当然、齲蝕とも関係するだろう。
この調査を行った医師も、従来言われてきた中耳炎や喘息より、齲蝕との関係が強かったので驚いたとのことである。

さて歯肉色素沈着は、喫煙の刺激でメラニン色素産成細胞が亢進し起こる。

乳歯列では、付着歯肉に認められる。
直下には歯槽骨があり血流量が少ないためだ。

次に、両親の喫煙状況と幼稚園児の歯肉沈着との関係である。
両親が喫煙者の場合、歯肉沈着が多い。
なかでも、クラス2の著しく沈着している園児が約4倍多かった。
(図4)
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そのレベルと尿中コチニン量では、著しく沈着している園児では約7倍も多かった。
想像以上に、早くから受動喫煙による口腔への影響が現れているのである。
(図5)
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しかしながら、歯肉沈着には他の原因もある。
肌色や口呼吸、それに上顎前突による歯肉の露出など外部からの刺激も要因の一つとなる。
しかし著しい歯肉沈着では、約85%が受動喫煙の影響と考えられる。
(図6)
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筆者は歯肉沈着がある場合、口呼吸などをチェックすると同時に先に小児に家庭での喫煙状況を聞き、保護者に受動喫煙の可能性があることを伝えるようにしている。
現在、タバコを止めたいと思っている喫煙者は、約70%以上いるがニコチン依存のため止められないのが現状である。
しかし保護者に“子どものため”と伝えると、止めるきっかけになりやすいだろう。
小児の歯肉着色は、保護者の禁煙に対する動機づけとなりえるし、家族全員の健康問題にもつながるのだ。

参考:小児の歯肉色素沈着をかわきりに家族の禁煙指導を!
受動喫煙と歯肉色素沈着の関連を示した禁煙啓発ポスター「歯ぐきが教えるタバコの害」と歯肉色素沈着チャートを大阪池田市のこいし歯科(http://www.834814.com/)小石 剛先生のご厚意によりダウンロード可能です。 診療室に掲示し有効活用していただきたい。

ポスター:歯グキが知らせるタバコの害
http://www.834814.com/pdf/jyudoukitsuen_poster.pdf

幼児用色素沈着チャート
http://www.834814.com/pdf/tabako_haguki.pdf
論文 小石 剛(学位論文) 幼児期における受動喫煙の口腔への影響―歯肉色素沈着と尿中コチニン濃度の関係―
http://www.834814.com/pdf/tabako_haguki_ronbun.pdf

論文 幼児期における歯肉色素沈着と尿中コチニン濃度の関係:日本小児禁煙研究会雑誌,3(2),84-88,2013.
http://www.834814.com/book/image/tabako_no_smoking_201310.pdf

 前 岡山大学病院 小児歯科 講師
 モンゴル健康科学大学(旧:モンゴル医科大学) 客員教授
 歯のふしぎ博物館 館長(Web博物館)
 岡崎 好秀
 ⇒ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/