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受動喫煙による小児の歯肉色素沈着 その1

2013年12月27日

タバコは喫煙者自身より、他人が吸う受動喫煙の方が有害物質を多く含むという。

例えば、一人が三本を吸うと、周囲の人は一本分の一酸化炭素を吸う計算になる。

タバコを吸うと空気中の酸素が引き寄せられ、燃焼部分が赤くなる。

そのため温度が高まり、有害物質も燃えやすい。
そしてフィルターでも一部除去される。
(図1)
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しかし、灰皿に置いたままの状態や、手で持っているだけでは燃焼温度が低い。

だから副流煙には、有害物質が多く含まれるのだ。
(図2)
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さて、受動喫煙の問題は、発達期における子どもにはより深刻な影響を与える。

これまで明確にされているのは、虚血性心疾患、中耳炎、下気道疾患、呼吸器疾患、喘息、肺機能の低下、さらには小児のメタボリック症候群や注意欠陥性多動性障害(ADHD)などがある。

また口腔への影響として、齲蝕、歯周疾患のみならずメラニンの歯肉色素沈着があげられる。
(図3)
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確かに、幼稚園等の歯科健診の場で歯肉が黒い子どもに限って、服にタバコ臭がすることがある。

子どもの歯肉色素沈着は、誰の眼からも明らかである。
(図4)
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だから、保護者の禁煙支援には有効なツールとなりえるだろう。

まず、そこで乳歯列の歯肉着色を3段階に分けチャートを作った。
(図5)
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ところで喫煙により体内に入ったニコチンは、肝臓で代謝されコチニンという形で尿中に排泄される。

ニコチンの血液中での半減期は約2時間だが、コチニンでは30時間以上となり安定性が良い。

コチニンは、唾液や毛髪などからも分析が可能である。

唾液から採取できれば好都合だが、残念ながら尿の1/10しか抽出できず安定性に欠けるのだ。

このような理由から受動喫煙の指標としては、尿中のコチニンが用いられている。

そこで、幼稚園での歯科健診時に子ども達の歯肉色素沈着を調べるとともに、尿を採取しコチニン濃度を測定してみた。

そして保護者に喫煙の状態と小児の尿中コチニンや歯肉色素沈着との関係について調べた。

その結果、両親の喫煙の有無により、子どもの尿中コチニンの濃度は30倍も高かった。
(図6)
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さらに、20本以上の喫煙者では、64倍も高かったのである。
(図7)
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やはり保護者の喫煙は、確実に子どもの体内に入っていることがわかる。

それでは、子どもの歯肉色素沈着と尿中コチニン濃度との関係はどうだろう。

続く・・・

 前 岡山大学病院 小児歯科 講師
 モンゴル健康科学大学(旧:モンゴル医科大学) 客員教授
 歯のふしぎ博物館 館長(Web博物館)
 岡崎 好秀
 ⇒ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/