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シギとサギのクチバシ

2011年07月19日

“シギ”と“サギ”と言えば、干潟など水辺に住むトリである。

名前は似ているが、“シギ”はチドリの仲間であり“サギ”はコウノトリの仲間だ。

シギは、体の割に長めのクチバシを器用に使いエサを探す。

そして種類によって、いろいろな形のクチバシを持つ。

 

(図1)
シギのクチバシ

 

真っすぐがあれば、上や下に反ったもの、さらにはヘラのようなものまである。

真っすぐなクチバシを泥の穴に突っ込み、ゴカイや貝をはさんで引っ張り出す。

上に反ったクチバシは水面の、下に反ったものは深い穴をほじくってエサを探す。

クチバシは、獲物によって変化するのだ。

さて、クチバシの長いシギをよく眺めると、目の前にアイラインが入っている。

どうしてトリにはアイラインがあるのだろう?

さて、この理由が面白い!

ヒトの目は、顔の前方にあるので立体視が可能である。

しかし弱い動物は、外敵に襲われないよう視野を広くする必要がある。

そこで、襲われる立場にある動物は目が顔の側方にあるのだ。

しかし、これでは立体視ができずエサを捕るのが難しい。

しかもクチバシが長ければ、なおさらだ。

そこでアイラインである過眼線(かがんせん)が登場する。

 

(図2)
過眼線(かがんせん)

 

トリの目からこの線をたどって行くと、ちょうどクチバシの先に達する。

両方の線が交わったところがロックオン状態。

 

(図3)

 

そこで、口を開ければエサを捕ることができる。

生物界は、かくも巧妙にできている。

それでは、クチバシが上や下に反ったシギはどうだろう?

そう!

反っていても、過眼線の延長上にクチバシの先がある。

さてサギは、コウノトリの仲間であり大きな翼で飛翔する。

クチバシが長く、水中の小魚をエサにする。

ところが、“サギ”は“詐欺”なのである。

サギは過眼線の延長上には、クチバシの先がこない。

 

(図4)

 

線の延長より下方に先があるのだ。

どうしてだろう?

ヒントは、“水中の魚を食べる。”にある。

そう!

賢明な読者はお気づきのことと思う。

水の屈折率が影響するのだ。

サギが見ているのは虚像であり、実際にはその手前に魚がいる。

これがあらかじめ計算され、過眼線の延長とクチバシがずれている

自然の巧妙さには、目をみはるばかりである。

 

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