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10円の価値

2011年07月04日

今から約25年前に、ある知的障がい者施設の指導員から聞いた話。

施設の子ども達にお金の価値を教えようとした。

そこでコインを出し、
“500円玉・・。”
“100円玉・・。”
“ 50円玉・・。”
“ 10円玉・・。”
“  5円玉・・。”
“  1円玉・・。”の順に並べ

「この順番にお金の価値があるのだよ。みんなもこの順に並べてごらん。」と言った。

 

(図1)

 

ほとんどの子ども達は、並べることができたのに一人だけできない子がいた。

もっと知的レベルが低い子でもできたのに、その子だけできなかったのである。

彼は、“500円玉”・“100円玉”・“50円玉”と並べた後、“10円玉”を一番上に置いた。

そして何もなかったように“50円玉”の後に“5円玉”・“1円玉”と続けた。

指導員が何度教えても、結果は一緒だった。

さて、どうしてだろうか?

 

(図2)

 

ここで少し考えていただきたい・・・・。

 

 

「10円玉だけ銅でできている。」

「10円玉は茶色。」

そんな答だったら、こんな質問はしない。

そこでヒント。

これは今から25年前に聞いた話である。

この答は、現在の中学生や高校生ではわからないだろう・・・。

いやいや大学生でも無理かもしれぬ。

次のヒント。

“10円玉しか使えない器械である。”

もう一度考えていただきたい。

 

 

さて、正解は“公衆電話”である。

10円玉を入れダイアルを回すと“お母さんの声”を聞く事ができるのだ。

“お母さんの声が聞ける喜び”。

これが彼にとって、なにより得難い事であったのだ。

 

>>岡崎先生のホームペ-ジ
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