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被災時における生活支援ソフト

2011年03月22日

東北地方太平洋沖地震の被災に遭われた方々、心よりお見舞い申し上げます。

また皆様が、1日でも早く安心した生活を送れますよう、お祈り申し上げます。

災害後、1週間になるが食料・水・薬品などの救援物資がいまだ十分ではない。

被災者の方々が、寒い思いをされていると思うと胸が痛む。

筆者も阪神淡路大震災の時、大学からの派遣で避難所での巡回診療の経験がある。

あの年も寒く、小学校の避難所で手袋をはずした途端、指がかじかみ動かなかった。

とても診療どころではなかったことを思い出す。

一刻も早い被災地の復興を望むばかりである。

現在、筆者に阪神淡路大震災の歯科支援についての資料請求が相ついでいる。

 

さて、歯科的支援と言えば、現地での診療の他、口腔ケア用品の配布を思いつく。

筆者が最初に保健所に訪れたとき、倉庫には歯ブラシの入った段ボール箱が山ほど届いていた。

しかし、それを配布する人がいなかった。

“物”を送るだけでは、だめなのだ。

被災者に配布するためのソフトも必要である。

例えば、歯ブラシ・タオル・石鹸などをまとめて“清潔セット”とすれば、早期から配布される可能性が高くなる。

また、これから建物の取り壊しや乾燥した砂などによる粉塵が問題となる。

気管支炎や喘息などの呼吸器性疾患が増えることが予想される。

そこで防塵マスクも必要だ。

さらに洗口液も欲しいところである。

・・・かといって個別に大きな容器を渡すことは不可能だ。

そこで避難所の手洗いには、“ご自由にご利用ください”と書いて使っていただく。

これがソフトである。

このようなソフトをたくさん用意しておく必要があるだろう。

さて阪神淡路大震災においては、電力・水・ガスの順で復旧した。

電力は2週間後ほぼ復旧したのに対し、水道は60%、都市ガスでは10%に満たなかった。

そこでこの期間、少しでも困らない生活を送るソフトが必要となる。

その一つとして、さまざまな防災グッズをまとめた非常持ち出し袋などが市販されている。

中でも、アウトドア用品をまとめた防災セットは、あらゆる局面や天候に対し準備されているので、屋外での生活を余儀なくされる場合には重宝する。
http://www.uside.net/set0/

震災直後の大阪でも、アウトドアショップを訪れ、折りたたみ式で蛇口の付いたポリタンクや固形燃料、寝袋、家財道具を運ぶキャリーなどを購入する被災者が多かった。

ここで災害時に、生き抜く術について調べたので紹介する。

 

1)飲料水・生活水の確保

水は、1日3リットルを補給する必要があるし、火災のことからもその確保は極めて重要である。

地震の直後では、断水していないこともあり風呂に水をためる。

マンションには、屋上に給水タンクがあり、直後の水の確保は可能だろう。

しかしポンプには電力が必要なので、次第に水の供給は困難となる。

*給水車が来た場合、洗面器程度の容器では充分な量を確保することは困難である。

そこで、ポリバケツや段ボール箱に、大きな厚手のゴミ袋を二重に重ねたものを用意すると充分量が確保できるし、持ち運びにも便利である。

*簡易浄水器の作り方:

ペットボトル(1リットル)の下半分を切り取り、上半分を用意する。

ペットボトルを逆さにし、風呂場の垢すりタオルを細かく切って入れ、その上に脱臭剤であるキムコの活性炭を入れる。
(入れた水が活性炭層を通過するようにする)

その上に砂や園芸用の小さな玉砂利(大きなゴミを濾過)を入れる。

そして蓋に穴を開ければ簡易の浄水器ができる。

活性炭などが漏れ出す場合には、注ぎ口を綿布で覆う。

*飲料水等の消毒として 携帯用として2、3滴で1リットルの水を殺菌し飲み水にできるピュア(株式会社オーヤラックス http://www.oyalox.co.jp/ )
(旅行用品・スポーツ用品店でも販売)が市販されている。

またイソジンを滴下するのも有効であろう。

*原水を入れ吊り下げるだけで飲料水や傷口の洗浄にも使えるドリップデリオス( http://www.uside.net/delios/ )などもある。

*容器にストローを差し込んで飲む簡易浄水器のミズキュー(MIZU-Q)
( http://mineralsui.web.fc2.com/spaqua/08/0008.html )

*手動式ポンプのついた浄水器( http://www.sg4.jp/ )

*電気が来ていれば電気ポットで煮沸すれば完璧である。

*洗濯やトイレ用には、風呂の残り水も利用できる。

近くに川があれば、バケツに紐で結び水を汲む。

降雨時には、ビニールシートやレインコート等を、紐で建物や木になどに結びつけ斜めにして下にポリバケツ等を置けば水を確保できる。

紐がなければ布のガムテープを代用する。

 

2)防寒着

新聞紙・発泡スチロール・プチプチ(梱包用の気泡の入ったシート)は、優れた断熱材である。

*下着の上に新聞紙やプチプチを巻き、その上から上着を着ると保温効果が高まる。

*またビニールのゴミ袋を2枚用意し、1つには頭と手、もう1つには足が入るように穴を開けて着る。

その上から上着を着る。

*またビニール袋にバラバラにした発泡スチロールやプチプチを均等に入れると即席のダウンベストになる。

なお袋の手足の部分はガムテープなどで止める。

*靴下を履き、上からサランラップを巻き、その上からさらに靴下を履く。

 

3)火の確保

*火の確保には、防水マッチの他、太陽光を利用した太陽光着火器やどんな環境でも着火するブラストマッチ( http://www.uside.net/match/ )などもある。

*非常用として単1乾電池を3本つなげ固定し、台所にあるスチールタワシを伸ばし両極に当てるとスチールタワシが簡単に発火し、ロウソクの種火として利用できる。

 

(図1)
ブラストマッチ

(図2)
ブラストマッチ(発火)

(図3)
ブラストマッチ(発火)

 

*ロウソクの反対側にアルミホイルを立て反射させることで、より明るさを増すことができる。

 

4)ガスの確保

都市ガスの再開がもっとも遅れる理由は、ガス漏れによる爆発や火災の問題である。

しかし阪神淡路大震災では、プロパンガスによる出火はガスの元栓を閉めたことや、ボンベの安全装置の働きにより1件もなかった。

震災後2週間のプロパンガス普及率は95%を越えていた。

そのため、プロパンガスに切り替え営業を再開した店舗も多かった。

また、ガスに関してはカセットコンロが生活用品として役立った例が多く、被災者への差し入れとしてコンロ用のガスボンベが喜ばれた。

カセットコンロは、生活用品のみならず、歯科治療にも応用できる。

 

5)簡易トイレ

トイレの不足も切実な問題である。

そこで簡易トイレの作り方を紹介する。

1.またげるゴミバケツを用意し、大き目のゴミ袋をぴっちり敷きつめる。

2.赤ちゃん用オムツか新聞紙を敷く。

3.爆弾投下。(何かつかまるものを用意しておくと便利)

4.粉末の洗濯洗剤をまく(除菌・除臭効果がある)

5.赤ちゃん用オムツ・新聞紙を敷く。

6.満タンになったら蓋をして処理をする。
(この方法は、マンションのベランダでも応用できる)

参考:
朝日新聞社編:大地震サバイバルマニュアル、朝日文庫、東京、1996.
西村 淳:身近なもので生き延びろ、新潮文庫、東京、2009.

 

>>岡崎先生のホームペ-ジ
http://leo.or.jp/Dr.okazaki/