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避難所でのちょっといい話

2011年04月04日

大地震以来、日本中が暗いニュースで満ち溢れている。

こんな時ほど、明るい話題が必要となる。

さて筆者は、阪神淡路大震災の時に大学からの派遣で、避難所を廻った経験を持つ。

たいして役には立てなかったが、そこで垣間見たことを紹介しておく義務もあるように思う。

 

(図1)

 

そこで避難所であった“ちょっといい話”を紹介する。

 

第1話.

ある避難所へ着いた時、すでに暗くなり始めていた。

木枯らしの吹きすさぶ校庭で、たった一人ギタ一を片手に歌っている若者がいた。

 

(図2)

 

よく聞くと、昔よく歌った曲だった。

こんなボランティアの方法があったことに驚かされた。

その理由。

読者の方の“懐かしい歌”や“青春の歌”は、どんな曲があるだろうか?

筆者はフォークソング世代なので“戦争を知らない子供たち”や“翼をください”などを思い出す。

ある日突然、自宅や家族、自分がこれまで築き上げてきたものが一瞬にして奪われたら、どんな気持になるだろう。

“どうしてこんな目に逢わなければならないのだ・・・。”

“悪いことはしていないのに・・・。”

“これは悪い夢に違いない・・。”

きっと、そんな思いが頭を駆け巡るだろう。

でもそれを受容し、新たな気持ちに切り換える。

その勇気づけ・励ましになるのが、自分が好きだった歌、みんなと一緒に歌った青春の歌のように思う。

昔を思い出して、“もう一度 頑張ろう!”と思い前向きに生きて欲しい。

きっとあのボランティアは、そんな思いで歌っていたのだと思う。

 

(図3)

 

第2話.

避難所では、ダンボールの囲いがそれぞれの家庭の境界だった。

真冬なので暗くなるのも早い。

運動場はあまりに寒く、テレビもないので、子ども達が遊ぶ場所もなかった。

ある日、診療をしていると校内放送が入った。

子どもの声だった。

「これから○年生△組の教室で紙芝居を始めます。みなさん来てください!」

何をするのだろうと思い教室に行った。

 

(図4)

 

すると、思いもかけない光景に出会った。

なんと!小学生が、幼稚園児達を集めて紙芝居をしていたのだ。

思わず胸が熱くなった。

子ども達は、大人に言われ紙芝居をしていたのではない。

自分たちができる仕事を、自分達で考え探しだして、紙芝居をしていたのである。

 

(図5)

 

素晴らしいことではないか。

最近の子ども達。

“わがままで自分勝手”、“我慢が出来ない”など良いようには言われない。

でも本当は、そんなことはないのだ・・。

日本の将来も、まんざら捨てたものではないな・・と思った。

 

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