2010年10月18日
前回、幼児期後半には、“癖としての指しゃぶり”と“心の栄養不足としての指しゃぶり”があると述べた。
この年齢で癖としての指しゃぶりを自覚していれば、指の爪に苦味成分などを塗る製品などは、それなりに有効だろう。
しかし、心の栄養不足によるとしての指しゃぶりに対してはどうだろう?
これは、虐待を疑われ施設で生活している5歳児である。
下顎左側ABCが欠損している。
不自然な喪失であることから虐待を疑われる。
同時に、明らかに指しゃぶりによる開咬も見られる。
きっと寂しい日々を送っているに違いない。
まさに心の栄養不足が、原因となっているのだろう。
このような状態で強制的に中止させたとしても、鉛筆噛み・咬爪癖・チックなどが出現するに違いない。
指しゃぶりは、その原因を診断したうえで指導する必要があることがわかる。
理解力のある年齢になれば、ストレスをかけずに自覚に促すという方法もある。
それは“共感”である。
例をあげる。
「内緒の話だけれどね・・。実は私も〇〇ちゃんと同じ年の頃、指しゃぶりをしていたの・・。だけど、大きくなったら自然に治ったわ!」
ここには、3つのキーワードがある。
1:自分の経験談を出す。
2:内緒話にして、2人の秘密を共有する。
3:“〇歳になったら治った。”とか“おにいちゃんになったら治った。”と
か近未来の設定にする。
“そうか!お兄ちゃんになったら、治るのか!ボク、もうお兄ちゃんだから頑張ろう・・。”と思ってくれればよいのである。
他にも“第3者の利用”という方法もある。
直接、言うとストレスがかかる場合に用いる。
ぬいぐるみのネズミやウサギ、またテレビのキャラクターは個性を出すために歯を強調していることが多い。
そこで「このネズミさん、指をチューチューしているから歯が出ているのね。
」などテレビやキャラクターに向かって独り言を言う。
言うふりをしながら、実際には子どもに言うのである。
こうすればストレスがかからない。
また充分理解できる年齢では、歯磨きカレンダ-の代わりに“指しゃぶり頑張りカレンダ-”や、頑張っている様子を日記に書かせるなどの方法も有効である。
>>岡崎先生のホームペ-ジ
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