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指しゃぶり考 その5

2010年10月04日

今回は、心理発達から指しゃぶりを考えてみる

さて動物の子育てについて調べていたら面白いことが書かれていた。

サルの母子関係には、次の3段階があるそうだ。

1:抱いて
2:話して
3:ほっといて
である。

これ人間とまったく同じではないか。

 

(図1)
親子関係

 

そこで各段階について解説する。

 

1:“抱いて”の段階

心理学者は、乳児期にしっかり抱くことを強調している。

そして母子間の信頼関係が深まれば、以後の両者の分離がうまくいくとしている。

また、精神分析学のフロイトは、この時期を口唇期と名付けた。

乳児は、吸啜により快感を覚えるとともに、母親との信頼関係を築いて行く。

吸啜は、栄養摂取による満腹感だけでなく、母子の絆を深め満足感とも関係するのだ。

そこで欲求が満たされない時、口唇に触れることで気持ちが癒そうとしている。

 

2:“離して”の段階

1歳を過ぎ幼児期に入ると、外界に興味を持ち始め探求心が旺盛になる。

これは自立心の芽生えであり、子どもは徐々に母親から離れる。

それは急ではなく、行きつ戻りつを繰り返し徐々に距離を取って行く。

 

(図2)

 

そして遊びが広がる子どもは、比較的早期に指しゃぶりがなくなる。

この準備の出来ない場合に、指しゃぶりが持続する。

これが幼児期の後半以後“クセ”として固定化され、意味のない指しゃぶりにつながる。

 

3:“ほっといて”の段階

9・10歳を境として母親より、自分のことをよく理解してくれる友人との関係が強くなる。

こうして子どもは、次第に家庭中心の世界から社会へ飛び立っていく。

最近の子育ては、“抱いて”の時に抱かず、“離して”のときに離さず、“ほっといて”の時にやっと抱きしめるパタ-ンが多い。

これが子どもの自立を妨げる、大きな要素となっている。

さて指しゃぶりの頻度は、家庭環境によっても異なる。

1:家族数が少ない
2:第1子
3:4階以上の高層住宅に住んでいる者ほど多いのだ。

現在のストレス社会では、子どもであっても緊張や不安から寝付かれない時もあるに違いない。

これらを“指しゃぶり”という行為で静めているのだろう。

指しゃぶりは,“心の栄養不足”とも言えるのである。

 

>>岡崎先生のホームペ-ジ
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