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一物全体食(いちぶつぜんたいしょく)

2010年07月05日

モンゴルといえば、果てしなく広がる大草原が頭をよぎる。

面積は日本の約4倍、80%が大草原の国である。

現在の人口は260万人。

そのうち約30%が遊牧民で、移動式のテントに住んでいる。

 

(図1)
移動式のテント

 

遊牧民は、豊富な草を利用し五畜(ごちく)といわれる“ウマ”、“ウシ”、“ヒツジ”、“ヤギ”、“ラクダ”を飼って生活する。

夏は、白いたべものである乳製品、冬は赤い食べ物である家畜の肉を食べる。

さて、わが国ではヒツジよりウシの肉が好まれる。

しかしモンゴルでは、ヒツジの方が高級食材だ。

そう言えば、「栄養」の「養」の字は「羊を食べる」と書く。

また、“美しい”の字は“羊が大きいと書く。

さらには、「正義」の「義」は、“羊に我”と書く。

“羊”の文字が良い意味で使われていたことがわかる。

ところでモンゴルは、雨が少なく耕作に適した土地が1%しかない。

そのためか、遊牧民は野菜を口にしない。

「草は、家畜が食べるもの」と言う。

栄養学的に問題ありそうだが、彼らは健康そのものである。

実は、この秘密。

食べ物にあるのだ。

1本のナイフで羊を殺し、皮を剥ぎ塩ゆでにしたものが最高のご馳走である。

 

(図2)
羊料理

 

彼らは、羊の頭の先から尻尾の先まで残さず食べる。

内臓を取り出し、腸管の中に血液を入れソーセージにする。

ビタミンやミネラルは、動物の血液に含まれている。

一つの命を丸ごと食べるから、必要な栄養はすべて満たされるのだ。

なるほど・・・・・。

遊牧民の暮らしの知恵には、驚かされる。

肉の一部分だけを食べ、残りは捨てるどこかの国とは、大違いだ。

このように、動物を丸ごと食べる食べ方を「一物全体食」と呼ぶ。

これが遊牧民の健康の源なのである。

でも、ちょっと待てよ!

日本でも「一物全体」を食べているではないか・・・・。

そう! 賢明な読者には、もうおわかりだろう。

例えば、“イリコ”や“ちりめん”。

 

(図3)
イリコ

 

“ししゃも”も丸ごと食べる。

“干しエビ”だってそうではないか。

小魚は、カルシウムが多く含まれるから・・・歯に良いから・・・子どもに勧めるのではない・・。

「一物全体食」だから、勧めるべき食べ物だったのだ。

 

>>岡崎先生のホームペ-ジ
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