2010年06月21日
西日本新聞といえば、福岡に本社をおく九州屈指の新聞社。
昨年から今年にかけ、この新聞の朝刊、第1面に咀嚼にまつわる話が連載された。
しかも22回の長期にわたっている。
咀嚼をテーマにこれだけの連載は、おそらく始めてであろう。
同新聞で2003年より連載されてきた“食卓の向こう側”の第13部
タイトルは、「命の入り口 心の出口」である。
第1回目(喜ぶ献立・・・早食い招く「軟らか食」)の一部を紹介する。
「スーパーの売り場で、音を立てて焼かれるハンバーグ。
つまようじに刺し、客に試食させるのが、「マネキン」と呼ばれる販売促進員だ。
ターゲットは、子どもの手を引いた親子連れ。
腰をかがめて目を合わせ、子どもの口の前にハンバーグをさし出す。
歯ごたえのあるハンバーグでは駄目。
あむ、あむごっくんと三口で飲み込めて、
「ぼく、オイチイ?」という問いに、
「うん、オイチイ」と即答させるような食品でないと、
忙しい親は待ちきれず、そっぽを向く。」
へえ~!
我々が噛むことの効用を説く一方で、
子どもを取り巻く環境のひどさに驚かされる。
でも、これが現実なのだ。
連載には興味深い話題が目白押し・・・・。
舌・・・試練乗り越え強くなる
長寿・・・100年続ける「1口100回」「1口30回」
噛み合わせ・・・歯は健康のシグナルだ
舌体操・・・「あいうべ」で舌を潤す
口腔ケア・・・肺炎を防ぎ高齢者を救う
医科歯科連携・・・舌も磨いてインフルエンザ予防
経口摂取・・・生きる力がよみがえる
アトピー性皮膚炎・・・噛まぬ食が母乳に影響
入れ歯・・・「安ければ」で大丈夫か
食指導・・・予防医学はまた口から
この連載の仕掛け人は、西日本新聞の記者 佐藤 弘氏。
佐藤氏は、歯科界が注目すべきジャーナリストの一人である。
先週、東京で行われた顎咬合学会では、公開フォーラムに登場されていたのでご存知で先生もおられよう。
取材は、全国各地を飛びまわり静岡の米山正義先生や長崎の角町正勝先生も登場される。
さて、佐藤さんからの歯科医に対するメッセージ。
「むし歯や歯周病の患者が来て、歯を削り詰め物をしても、根本が変わらなければ、また悪くなって歯科医を訪れるだけだ。
修理して治す。
治してはまた修理することを続けていれば、経営としては成り立っても、そんな仕事の仕方に誇りがもてるだろうか。
国民の尊敬を集められるだろうか。
患者のことを考えるなら、そうならないように指導することが「上医」の仕事ではないか。
口を命の入り口にするか?
病の入り口にするか?
それは、歯科医師にかかっている。」
佐藤氏には、オピニオンリーダーとなって歯科界を引っ張っていただきたいものだ。
さて、この連載がブックレットになり発売予定だ。
一般市民が読む前に、我々も読んでおく必要があるだろうし、待合室で患者さんにも見せたいものだ。
さらに、安価なので受付で販売したい本でもある。
参考1:食卓の向こう側 第13部 パート1・パート2 記事
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/lifestyle/shoku/rensai/
>>岡崎先生のホームペ-ジ
http://leo.or.jp/Dr.okazaki/