2009年04月20日
声帯や喉頭蓋は、言葉や誤嚥の防止以外にも重要な働きがある。
この働きがなければ、歯科医師は形成や抜歯はできないのだ。
どうしてだろう?
さて麻酔を打つ瞬間、あるいはへーベルを歯に当てた時には、どのような呼吸をしているだろう?
そう! 無意識に“息こらえ”を行っている。
もし息を止めなければ、精密な作業を行うことができない。
それでは、どうして止めるのか?
まず、精密な作業をするためには、指先の固定が必要である。
指先を固定するためには、手首の固定が必要となる。
手首の固定のためには、肘の固定が必要だ。
そのためには、脇をしめ肩の固定も必要となる。
さらに肩を固定するためには、上半身の固定が不可欠である。
それでは上半身の固定のためには???
その前には胸郭の固定をせねばなるまい。
そう! 胸郭を固定するため、無意識に息を止めているのである。
言い換えれば、胸郭を固定することで、上半身を固定し、肩を固定し、肘を固定し、手首を固定し、指先を固定しているのだ。
ちょうどこの時、口腔や咽頭部では、嚥下時と同じ無呼吸状態となっている。
口唇を閉鎖し舌が挙上する。
軟口蓋も挙上し、口腔が鼻腔と隔絶される。
さらに舌骨や喉頭も挙上し、喉頭蓋が反転し喉頭口が塞がれる。
その時には声帯も閉じている。
実は、“息こらえ”は精密作業のときだけではない。
重い荷物を持つ時だってそうだ。
トイレに入り腹圧をかける時もそうだ。
体の動きと呼吸とは、密接な関係があることがわかる。
ためしに、太い木の枝に飛び移る姿を想像してみよう。
必ず息を止めている。
もし“息こらえ”ができなければどうなるか?
サルも木から落ちるのだ。
歯科医師にとって正確な処置を行うためには、
声帯や喉頭蓋は重要なのである。
>>岡崎先生のホームペ-ジ
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