2017年12月04日
運動発達は、次の二つの側面から考える必要がある。
粗大運動と微細運動である。
前者は、座る・ハイハイ・歩くなどの全身を使う運動。
後者は、手で対象物をつかむ・つまむといった細かな運動である。
まず粗大運動が発達し、微細運動がそれに続く。
これは我々の臨床にも関係する。
例えば麻酔の刺入時。
まず肩の固定が必要だ。
続けて肘を固定させ脇を閉める。
それに続いて手首の固定がある。
こうして指先を細かく動かせることができる。
これらができなければ刺入点が定まらない。
手の機能においても肩→肘→手首の順で発達が進む。
粗大運動ができて、始めて細かい動きが可能になるのだ。
そういえば、余談であるが…
我々は、診療中に無意識に息を止めている。
例えば、麻酔の刺入の瞬間や、抜歯時。
どうしてなのか?
これも固定源の確保の問題である。
刺入時の肩の固定の前には、上半身の固定が必要だ。
そこで大きく息を吸って止める。
これが胸郭を固定させ上半身の固定につながる。
ちなみに息を止めるのは、喉頭蓋や声帯の作用。
これらは、誤嚥の防止や発声のためだけの器官ではないのである。
ここで、シャ-プペンシルを例に考えてみる。
小学校高学年頃になると、これで字を書ける。
しかし幼児ではどうだろう?
すぐに芯が折れる。
手の固定が未熟なため、筆圧の調整が難しいのだ。
そこで幼児は、太いマジックや軟らかいクレヨンを利用する。
さて、これを歯磨きに置き換えるとどうなるだろう?
前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
⇒ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/