2017年12月18日
この2枚の写真は、3歳児が歯磨きしている風景である。
どちらの方が、しっかり磨けているだろう?
右は、歯ブラシを手のひらで握っている。
一方、左は親指と人差し指でつまむように持っている。
これでは力が入らず磨けない。
これは、左は柄の細い歯ブラシ、右は柄の太い歯ブラシを与えた時のものである。
柄の太さだけで、これだけ歯ブラシの持ち方に差がでる。
幼児には、まず太い歯ブラシを与えた方が良いことがわかる。
これは、幼児用のスプーンやフォークの柄と同様だ。
通常、成人が歯を磨く際には、歯ブラシを指先で軽くつまむように保持する。
そしてすべての歯面に歯ブラシの毛先を到達させて歯垢を除去する。
しかし、これは手の機能の未熟な幼児には通用しない。
そこで、幼児の手の機能を理解するために実習をしてみよう。
今、読者の方が利き手を怪我し、反対の手で歯を磨くとする。
細い柄の歯ブラシをペングリップで磨いてみよう。
次のことに気がつくだろう。
1:指先に力が入らないので、歯ブラシが持ちにくい。
2:特に細い柄の歯ブラシは 持ちにくい。
3:大きな動きしかできない
4:細かいところが磨けない。
歯ブラシの固定が不十分だから思ったように磨けない。
これは幼児だけの問題ではない。
マヒなどで手の不自由な方も同様である。
そこでゴムホースや自助具を利用して柄を太くすると磨きやすい。
さらにはヘッドの大きさも重要だ。
ヘッドの大きい歯ブラシの方が安定して磨ける。
保護者の介助磨きや、成人が磨く場合は、ヘッドが小さい方が有利である。
しかし歯の空間的位置が把握されていないと、歯に当たりにくい。
すなわち幼児は、ヘッドの大きい方が歯に到達しやすく安定感が得やすい。
続く
前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
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