2017年11月06日
ある幼稚園年長児の保護者から
「何歳頃まで子どもの歯を磨いてあげれば良いのですか?」
と質問を受けた。
さて諸兄は、どう答えるだろう?
1:幼稚園年長時
2:小学校低学年
3:小学校高学年
4:中学生
これはなかなか難しい質問である。
年長児なので自分で歯を磨いても、第1大臼歯が生えてきたら心配だ。
小学校中学年では、上顎前歯部の歯頚部や隣接面の磨き残しが気になる。
また高学年になると第2大臼歯も生えてくる。
歯の交換とともに、次々とリスクの高い部位が変化する。
だからむし歯予防のための歯磨き介助は必要だ。
さて、ある幼稚園の年長児に歯磨き指導をしたときのこと。
歯垢を染め出し、歯ブラシと鏡を手渡し、洗口所で磨くよう伝えた。
みんな洗口所へ行ったが、一人だけ行かない園児がいた。
どうしたのだろうと?と思って聞くと…
“私の歯を磨いて!”と言われた。
これを聞いて驚いた。
そう! この園児は、自分で歯を磨いたことがない。
歯磨きは、保護者に磨いてもらうものなのだ。
年長児であれば、まだ自分自身の力では充分に磨けない。
しかし、みんなと一緒に磨こうとするのが普通だと思う。
歯磨き介助が、子どもの発達に悪影響を及ぼすものであってはならない。
まさに”小さな親切、大きなおせっかい”と言える。
それでは、諸兄は何歳まで磨いてもらっても平気だろうか?
1:幼稚園年長時
2:小学校低学年
3:小学校高学年
4:中学生
むし歯予防の立場からは、可能な限り介助磨きをして欲しい。
しかし、磨かれる立場であれば、いつまでも素直に従えるだろうか。
中学生が、仕上げ磨きをしている様子を思い浮かべるとゾ~ッとする。
歯磨き指導は、子どもがきれいに磨く能力を身に付けるよう援助するものだ。
そこで次回から、手の発達について考えよう。
前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
⇒ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/