2017年09月04日
最近、惣菜店のポテトサラダが原因で病原性大腸菌0-157の集団感染の事件があった。
過去には、白菜の浅漬けや冷やしキュウリによる感染の事例もある。
また焼肉やピザ・パスタでの感染など、外食チェーン店でも次々と感染例が報告されている。
さて世界最初のO-157の感染例は、1982年アメリカで起こったが、原因はハンバーグであった。
そこで当初、ハンバーグ病と呼ばれていた。
でも、どうしてハンバーグで感染するのだろう?
現在、ハンバーグを一つ食べると1000頭の牛を食べたことに相当するという。
1つのハンバーグは、1頭の牛から肉を取るのではない。
一度に多数の牛を屠殺し、その肉を混ぜてひき肉を作る。
だから1000頭もの牛を食べたことになるのだ。
病原性大腸菌は、ウシなどの家畜の大腸に住む菌のうち、
病原性を持つものの総称である。
感染した一頭の血液が、ひき肉に混入すると全体が汚染されることになる。
牛の病原性大腸菌について調べたら、なんと保菌率は約5~9%であった。(注1・注2)
想像以上に多い値で驚いた。
ではどうしてステーキではなく、ハンバーグなのか?
ステーキなどの固形肉の場合、菌は表面に付着する。
だから鉄板で焼けば死滅する。
しかしハンバーグはどうだろう。
中心部まで十分火が通らなければ菌は生き残る。
焼き方によってはステーキより、ハンバーグの方が感染の可能性が高いのだ。
これはメンチカツやつくねなど、ひき肉料理全般に言える。
ちなみに、サイコロステーキは固形肉ではない。
牛のいろいろな部分の肉を結着剤で固めた”成型肉”をサイコロ状に切ったもの。
だから、サイコロステーキもよく焼いた方が賢明だ。
それでは、火を通せない食物ではどうだろう?
いよいよ、”口に入った後の食中毒予防”の出番である。
注1:牛の腸管出血性大腸菌O157の保菌状況と分離株の性状
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvma1951/56/11/56_11_745/_article/-char/ja/
注2:牛における腸管出血性大腸菌O157保菌について
http://www.kenko-kenbi.or.jp/science-center/pathogen/topics-pathogen/9332.html
前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
⇒ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/