2017年06月19日
前回、「動物園のサルは、どの季節にむし歯になりやすいだろう?」というクイズを出した。
そして”とりあえずの正解”として、行楽客が増える”春と秋”と述べた。
「少しだけならいいだろう。」
「自分だけならいいだろう。」
と思ってお菓子を与える機会が増えるためだ。
実は、この話。
高齢者の多い講演会でも利用できる。
「祖父母が、孫にお菓子を与えて困る!」という保護者の訴えをよく聞く。
祖父母が”良かれ”と思い与えることが、孫のむし歯につながる。
これは、行楽客とサルとの関係と同じなのだ。
しかし…である。
子どもの発想は面白い!
この話を小学校4年生にした時のこと。
「それでも私は、”夏”だと思う。」と言う小学生がいた。
その理由を聞くと
「夏は暑いから、コーラやジュースをたくさん飲むから、絶対夏にむし歯になりやすいと思う。」
と答えた。
なるほど~!
筆者は思わず納得してしまった。
さらに「ボクは絶対”冬!”」という答えがあった。
今度はその理由。
「寒いから家でコタツに入ってテレビゲームをする。するとついついお菓子が欲しくなり食べてしまうから」という答であった。
もっともな話である。
これにも納得!
この時、子ども達に教えられたことがある。
それは、”正解は1つではない!”ということだ。
学生時代の試験では、常に正解は一つであった。
マークシート方式では、二つにチェックをいれると間違いになる。
しかしこの場では、そうではない。
むし歯にはさまざまな原因があるので、理屈が正しければすべて正解だ。
これはとっても大切なことだ。
例えば ”5+5=10″である。
これは、誰が何回計算しても10にしかならない。
しかし、ドイツのシュタイーナー教育では”10=○+△”と教えると言う。
“10=○+△”と考えれば、
0+10・1+9・2+8・3+7……10+0とたくさんの正解が存在することがわかる。
このような教育方法から、自由な発想が生まれる。
発問型クイズは、一つの問いをきっかけとして、話が広がることがよくわかる。
続く
前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
⇒ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/