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災害を生き抜くための武器

2011年04月18日

福島第1原発3号機の事故に対し、放水を始めたオレンジ色の服に身を包んだ一団があった。東京消防庁のハイパーレスキュー隊である。

誰もが放水の成果を期待しつつ、彼らの勇気に心を打たれたことだろう。

ハイパーレスキュー隊は、阪神淡路大震災を契機として編成された。

科学技術を駆使すれば、もっと多くの人命を救うことができたのではという反省から生まれた。

新潟県中越地震でも、救援部隊として活躍した。

地震4日後、崖崩れの下から車に閉じ込められた雄太ちゃん(当時2歳)を助け出したことは記憶に新しい。

さて以前、NHKのプロジェクトXという番組があった。

さまざまな困難に正面から立ち向かう人物像が描かれていた。

ここにハイパーレスキュー隊の前身が紹介されたものがある。

1982年、東京赤坂のホテルニュージャパンの火災の救出活動劇である。

この番組は、好評であったため後にマンガ化された。

(参照)
http://www.amazon.co.jp/

そのマンガの最後には、テレビでは放映されなかった部分が描かれていた。

阪神淡路大震災の話である。

「ある消防士が、直後に休暇を取りボランティアで神戸に駆け付けた。

倒壊した家の前で、お年寄りの女性が何かを探していた。

“危ないから・・”と言って、代わりに探したものがある。

2時間がかりで見つけ出したもの。

それは“義歯”であった。

 

(図1)

 

阪神淡路大震災の夜、テレビでは被災者に対しインタビューをしていた。

その方々が、あまりにも歯が悪いことに驚いた。

早朝の地震であるから、義歯をはずしたまま逃げたのだ。

倒壊した自宅に戻り、真っ先に”義歯”を探した方は非常に多い。

ところで、同じことが自分にふりかかったら、真っ先に探すものは何だろう?

“お金?”・“預金通帳?”。

しかし・・・である。

筆者は、メガネがなければ何も見えない。

だから朝起きて、最初にする仕事は、メガネを探すことだ。

これがなければ、お金を探すことさえできない。

メガネは、“生活のための武器”と言える。

実際、メガネをかけている方に質問をすると、同じ答えが返ってくる。

義歯を真っ先に探された方にとって、それは“生きるための武器”なのだ。

今回の被災で、紛失されたまま生活されておられる方がいると思うと心が痛む。

早期に義歯を作っていただき、口からの復興をお祈りする次第である。

 

>>岡崎先生のホームペ-ジ
http://leo.or.jp/Dr.okazaki/