2010年02月01日
今回は、乳歯の感染根管治療の2回目の処置です。
初回は、軟化象牙質の完全除去と天蓋を除去し、簡単に髄腔内の汚物を除去した後、FCを貼薬しセメントで仮封しました。
慢性的な瘻孔などは、初回のこの処置で歯肉膿瘍の大半が消失していると思います。
2回目の主な処置は、根管の拡大です。
再診時の流れ
1:ラバーダムの装着後、仮封剤を除去します。
2:根管拡大
3:根管洗浄
4:FC貼薬 FC綿栓は、挿入しにくい細い根から貼薬を行います。
5:セメントによる仮封
乳歯の根管拡大:
乳歯は永久歯と比べ、根が離開しているので、拡大の際は方向に気をつけます。
また乳歯の根管は大きいので、細いリマーやファイルから拡大する必要はありません。
細い器具を利用すると根尖周囲組織をいたずらに刺激するので、むしろ#30位のものを利用し拡大します。
わずかな刺激でも出血する場合は、根の病的吸収がすすんでいると考えられます。
乳歯感染根管治療では、根の病的吸収が多く電気的根管長の測定が正確とは言えません。
拡大には、ファイルでかきだすように行い、健全象牙質がでる程度にします。
小児の口腔内は狭くファイリング操作の上下運動は、根尖を刺激し疼痛を与えます。
小児の顔や、体動に気を配り、痛みに対する配慮をし、事前に痛みがあれば手を上げて合図するように伝えておきます。
乳歯用のエンジンリーマーやピーソーリーマーを利用し拡大する場合もあります。
破折の危険性があるので、あくまで補助器具として利用します。
ピーソー・リーマーは、永久歯では根管口の明示に利用しますが、乳歯では根
管上部の拡大にも応用できます。
乳前歯など円形の根管に対しては、根管内の壁にあてることで感染象牙質を除去することもできます。
根管口の明示は、根管充填も容易にします。
また上顎第1乳臼歯の遠心根など偏平根のため、根管口の明示が難しく充分拡大出来ない場合は、カルテに記入しておきます。
FCの為害性について:
最近FCの為害性が問題になっていますが乳歯は、根管が複雑であり、側枝が多く器械的拡大だけでは根管の清掃が十分期待できません。
そこで最近では生体親和性のある水酸化カルシウムを貼薬に応用する機会が増えています。
水酸化カルシウムには、強アルカリによる殺菌作用と根尖部の治癒を促進する作用があります。
その他の注意事項
乳臼歯で1根が失活していても、他の根は生活歯のケースが時々見られます。
例えば、下顎の第1乳臼歯に歯肉膿瘍あり、遠心根が失活し瘻孔が見られるにもかかわらず、近心根が生きているケースに遭遇します。
この場合は,無痛下で抜髄を行います。
>>岡崎先生のホームペ-ジ
http://leo.or.jp/Dr.okazaki/