2008年06月02日
学校における歯科健診のシーズンである。
学校医として健診に行かれる先生も多いだろう。
さて、健診を終えると校長室に案内される。
新任の校長であれば、名刺交換も行うであろう。
そこでお茶を飲みながら、しばし歯の話となる。
実はこの時間、学校医としてはとっても重要な時間だと思う。
学校長の歯に対する考え方が、子ども達の口腔の健康に反映されるためだ。
さてこの場で、学校長は最初どのように言い出すだろう?
ちょっと考えていただきたい・・・。
「どうですか? 我が校の子ども達の歯は?」
「私は、最近歯が悪くて・・。」
こんな言葉から、始まったことはないだろうか?
両者とも、さしさわりのない話題である。
でも・・・だ。
こんな話がある。
明治時代、東京帝国大学 内科学には、青山胤通教授がいた。
この方は、天皇陛下の侍医としても著名である講義のなかで教授は、医学生に向かって次のように述べた。
「諸君は名誉ある東京帝国大学の学生だ。
きっとこの中から、将来陛下から園遊会などに招待される者もいるだろう。
その時、招待客から病気について質問されたら、諸君は恥をかいたと思いたまえ。」
医者が病気について質問されてどうして恥なのだろうか?
学生達は、教授の真意がわからない。
後で、おそるおそるその理由を尋ねた。
教授はこう述べた。
「園遊会に招待されるくらいの方は、各界の名士で話題も豊かだろう。
そのような方々から病気の質問をされることは、いかに医者が専門バカで世間知らずであるかと言うことだ。
彼らは、諸君に合わせるために病気の話をしてくれているのだ。」
そう言えば、歯科医師であることがわかると”歯の状態”について話されることが多い。
ひょっとしたら相手は、気を使って歯の話題をしてくれているのだろうか。
子ども達の歯の健康は、校長室での会話から始まるかもしれない。
そのためにも、学校長を唸らせる歯の話題を集めておく必要があるように思う。
>>岡崎先生のホームペ-ジ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/