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子どもの歯磨き何歳まで手伝えば良いのか?【5】メディカルの障害・デンタルの障害

2018年01月05日

筆者は障害児施設へ非常勤歯科医師として行きだして37年になる。

この間、多くの障害を持つ子ども達を診てきた。

(図1)

先日も肢体不自由の47歳の方が来られた。

口腔内にトラブルはなく、いつも歯が光っている。

いつも保護者が歯を磨いておられるようだ。

(図2)

この保護者、10歳の頃から30年以上定期健診を欠かしたことはない。

3か月に一度、一人息子を車椅子に乗せ遠くから電車で来られる。

しかし身体が大きいし、重い…。

車椅子に乗せるだけでも大変なことだろう。

よく見ると、いつの間にか保護者の背中が丸くなっている。

お年を考えると、連れて来ていただくのが気の毒になる。

そこである時、保護者に
「歯はとってもきれいなので、定期健診は半年に1回で十分ですよ。」
と伝えた。

しかし保護者は「3か月に1回通いたいのです…」と答えられた。

すかさず「でも、いつも遠くから来られるのはたいへんでしょう」と言った。

すると思いもかけない答えが返ってきたのである。

その保護者の言葉。

「私は、この子の障害を治すことはできません。でも、みんなに自慢できる歯にすることはできるのです。」

筆者は、ドキッとした。

あらためて、身を引き締めて診療に当たらなければならないと思った。

他にも長年、診てきた方々がたくさんいる。

しかし将来を考えると、気になることがたくさんある。

それが保護者の高齢化である。

これまで筆者は、障害を持つ子どもの歯科医療において、
自分なりの目標を持って診療を行ってきた。

それは、彼らが大きくなった時。

 1.自分で歯科医院に行く
 2.チェアーに上がって大きな口を開く
 3.ある程度歯磨きができる

これが達成できれば、メディカルな障害があったとしても、デンタルな障害はないことになる。

(図3)

そう考え、診療や患者さんとの信頼関係に気を配ってきた。

しかし、なかなか思い通りに行かないことがある。

保護者が高齢のため、やむなく施設に入った途端、
口腔内が悪化したケースも数多い。

もちろん、きっちり取り組んでいる施設もある。

いずれにせよ、そこで求められるのは、”歯磨きの自立”だと思う。

しかし、年齢と共に歯磨きは、どのように上手になっていくのだろう?

これに対する明確な解はない。

そこで保育所や小学校にお願いし、2歳~12歳児までの1000人の歯を磨く様子を撮影した。

続く

前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
http://leo.or.jp/Dr.okazaki/