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異性化糖(ブドウ糖・果糖液糖)【1】糖質の種類

2016年09月05日

最近、ジュースやスポーツドリンク、それに氷菓子の内容表示を見ていると、砂糖ではなく、
“ブドウ糖・果糖液糖”あるいは“果糖ブドウ糖液糖”と書かれてある。

(写真1)
スライド1

これは砂糖とどのように違うのだろう?

理解を容易にするために、まず簡単に糖類について述べる。

まず糖質は、炭水化物から食物繊維を引いたものを指す。

そして糖類を大きい順に並べてみる。

まず、最も大きいのが、米や小麦などに含まれているデンプンなど。

(写真2)
スライド2

これは、糖がたくさんあるから多糖類である。

そしてオリゴ糖などの少糖類。

オリゴ糖は、新生児の腸管へのビフィズス菌の定着・増殖を促すことで注目されている。

続けて、蔗糖(砂糖)や母乳に含まれる乳糖(ラクトース)、それに麦芽糖(マルトース)などの二糖類。

なかでも蔗糖は、サトウキビやビート(甜菜・てんさい)から作られ甘味料として大量消費されてきた。

ミュータンス連鎖球菌の格好のエサとなりう蝕との関係が深い。

そして、もっとも小さいのがブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)、それにガラクトース(脳糖)などの単糖類。

糖の最小単位だから、これ以上分解されない。

ヒトの細胞や細菌もこれをエネルギー源としている。

さて蔗糖が分解されるとブドウ糖と果糖になる。

(写真3)
スライド3

先ほどの清涼飲料水の表示も“ブドウ糖・果糖液糖”と書かれていた。

これを異性化糖と言う。

デンプンを小さくしたらブドウ糖になる。

異性化糖は、主にトウモロコシのデンプンの粉(コーンスターチ)から作られる。

まず“アミラーゼ”を作用させ加水分解してブドウ糖を作る。

そして酵素を作用させ、ブドウ糖の一部を果糖にする。

(写真4)
スライド4

成分表では、“ブドウ糖果糖液糖”と“果糖ブドウ糖液糖”との表示がある。

これはブドウ糖と果糖の割合で多い方を、先に書くというルールのためだ。

異性化糖は、通常液糖の形で用いられる。

しかも清涼飲料水にしたら、砂糖よりおいしく感じるのだ。

続く

前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
http://leo.or.jp/Dr.okazaki/