2011年11月21日
保護者から「子どもが歯磨きを嫌がり磨かせてくれない・・。」という相談をよく受ける。
(図1)
むし歯予防のためには、嫌がっても磨くように言わねばならない。
でも、泣き叫んでいる子どもを見ると、本当に正しいのだろうかと思ってしまう。
嫌がる子どもを、押さえつけてでも磨かなければならないものなのか?
そこまでしなくても良いものか?
どうやらこの問題は、むし歯予防にとって永遠の課題である。
さて筆者は、子どもの“泣き”の診断をするように心がけている。
例えば、深部う蝕に対しても診断に基づいて“抜髄”や“覆髄”などの処置を決めるように、“泣き”に対しても診断する必要があるように思う。
まず、子どもが泣く理由は三つある。
1:怖くて泣く
2:痛くて泣く
3:甘えて泣く
もしくはこれらの複合系。
怖くて泣く場合は、やさしい対応が必要である。
痛くて泣く場合は、まず除痛である。
しかし、麻酔したから痛くないだろうと思っても、実際には効いていないこともある。
効いていない状態で、体動を抑制しての治療は拷問のようなものである。
怖くて泣いている子どもには、やさしく接すればそのうち慣れる。
しかし、痛みにだけは決して慣れることはない。
一歯科医として患者の痛みに対しては、敏感であり続けたいと思う。
一方、甘え泣きは、泣けば処置を止めてくれるだろうと思っている場合である。
ちょうど玩具店の前で泣けば、玩具を買ってくれるだろうと思い泣くのと一緒である。
この場合は、毅然とした対応が必要となる。
いずれにせよ泣きの理由を診断し、それに合った対応が必要であることは言うまでもない。
このように考えると、子どもが歯磨きを嫌がる理由も診断すべきである。
その理由には、保護者に起因するものと子どもに起因するものがある。
さらに、それを分けると以下のことが考えられる。
A:保護者の要因
1.子どもの歯を磨くことになれていない。(歯磨きのテクニックの問題)
2.歯を磨かなくてはならないと思い、心の余裕が失われる。(保護者の心理的な問題)
B:子どもの要因
1.子どもが歯を磨かれることに慣れていない。(口腔の過敏・呼吸のタイミングの問題など)
2.子どもが何をされるか わからないので怖い。(子どもの心理的な問題)以上のことが考えられる。次回から、これらについて解説を加えたい。
>>岡崎先生のホームペ-ジ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/