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二つの食育

2011年09月20日

食生活と健康との間には、大きな関係があることが知られている。なかでも生活習慣病は、食生活の乱れによって起こるため、子どもの頃からの予防が重要だ。そこで、“食育基本法”が制定された。 これは、子ども達が体に良い食べ物を選ぶ力を身につけ、生活習慣病を予防するというものである。そのため全国各地では、食育にまつわる多くの催し物が行われている。

ところで現在の食育運動には、“ある視点”が欠けているような気がしてならない。この点について述べてみる。

さて、ここに典型的な和食がある。焼き魚に煮物、野菜にみそ汁、そしてご飯。一方、右はファストフードであるさて、どちらを食べている人がより健康だろう?

(図1)

誰もが和食と答えるだろう。それでは逆の“出す方”の話。どちらの、ウンチをしている人の方がより健康だろうか?

(図2)

1:バナナタイプ2:ビチビチタイプこれも誰もがバナナと答えるだろう。さて、ここからが難しい。

これを組み合わせると次のようになる。1:典型的な和食を食べて、ビチビチタイプの人2:ファストフードを食べてバナナタイプの人さて、どちらが健康だろう?

(図3)

誰もが答えにつまることだろう。どちらが正しいのか筆者にもわからない。ただ、“とりあえず若い頃”ということであれば、後者のように思う。何故なら“ウンチは、身体からの便り”という言葉がある。その状態は、腸内細菌の菌叢を現わしている。善玉菌が優勢であればバナナタイプになるだろうし、悪玉菌が優勢になればにおいが強くなる。

ここで言いたいこと。それは、現在の食育運動は、“健康に良いものさえ食べれば、バナナタイプになる”という思想に支配されているのではないか。本当にそうだろうか?健康に良いものを食べていても、ビチビチタイプの人もいるに違いない。

(図4)

これは、“口に入る前の食育”と言える。さて食育には、もう一つある。それは“口に入った後の食育”である。これが“よく噛む”ということである。現在の食育には、この発想が抜けているような気がしてならない。いくら健康に良いとされる食物を食べても、噛まなければ消化不良を起こすだけである。

食育には“二つの視点”が必要であることがわかる。そもそも、“歯は噛むために生えてきた”のである。むし歯や歯周病になるために生えてきたものでなければ、磨くために生えてきたものでもない。

言い換えれば“食”の話は、すべて“歯や口”の話に置き換えることができるように思う。 “口に入った後の食育”を進めるのは我々の役割なのである。

>>岡崎先生のホームペ-ジ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/