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ひよっこ料理人 ―足踏みと体のバランス―

2011年09月05日

ひよっこ料理人 ―足踏みと体のバランス―

ビックコミック・オリジナル(小学館)で“ひよっこ料理人”という新しい連載が始まった。作者は、魚戸おさむ氏。

(図1)

「家栽の人」や「玄米先生の弁当箱」で有名なマンガ家なので、ご存知の方も多いことだろう。数年前“玄米先生の弁当箱”の連載に、口呼吸や咀嚼の話題が登場した。その時、コンビニや書店からこの号が消えたという。歯科界でも話題になり、歯科関係者が一人で何冊も買ったためだ。この話、“玄米先生の弁当箱”の単行本第6巻に収められている。そのためか、待合室にこの本が並べられている歯科医院は多い。

さて、今回のマンガの主人公“今田妃代子(ひよこ)”は、こどもに料理を作る楽しさを伝えるために“こども料理教室”を開いている。第1話では、おいしい“おにぎり”の握り方。料理をおいしくする秘訣は、「“おいしくな~れ!”と食べてもらう人の顔を思い浮かべながら唱える」と言う。魚戸おさむ氏らしい、ほのぼのとした展開である。

ところで、この主人公の父親。実は歯科医師なのである。第2話の登場シーンを紹介する。

歯科医師は教師に対し“目を閉じて、1分間足踏みをする”ように告げる。

(図2)

教師は、1分足踏みをし目を開けたら、いつの間にか左の方を向いていることに驚く。

(図3)

そこで歯科医師は、「左で噛むことが原因である」と述べている。

(図4)

右側のむし歯を放置しているために顎位が変わったのだ。歯は、体のバランス感覚と密接に関係し姿勢や歩行に影響することがわかる。歯科関係者にとって影響力の大きい雑誌に、歯の重要性について描いていただくことは大歓迎である。

さて、これに類似した実験がある。人気の少ない公園で、まず木などの目標物を作り、それを目指して目を閉じて歩く。面白いことに、わずかに顎を偏位させると、いつの間にかそちらに傾いて歩いていることに気づく。骨や歯などヒトの硬組織は、左右対称である理由がわかる。左右差がある咬合は、高さの違うハイヒールを履いているようなものである。簡単な実験なので、患者さんや地域での健康教育などで試されてはいかがだろう。

さてこのマンガ、今後も歯科医師が神出鬼没に登場するそうである。2週間に1度の楽しみが増えた。
参考1:足踏みの実験は,できるだけ手を振り足を高く上げることがコツである。
参考2:ビックコミック・オリジナルのバックナンバーは以下より購入可能である。 ⇒http://big-3.jp/bigoriginal/index.html

>>岡崎先生のホームペ-ジ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/