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歯科医から見た学校給食 その【2】

2014年12月11日

この二つの学校給食。

(図1)
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栄養学的には、両者とも充足されているのだろう。

しかし、あなたはどちらを食べたいと思うだろう?

我が子がいれば、どちらの学校に通学させたいと思うだろう?

歯科医師の立場から、どちらが好ましいと思うだろう?

さて“オ・カ・ア・サン・ヤ・ス・メ”という言葉がある。

“オムライス”・“カレーライス”・“アイスクリーム”・“サンドイッチ”・“やきそば”・“スパゲッティ”・“目玉焼き”と、いずれも子どもの好きな食事である。

これらは、同時に軟食文化の代名詞ともなってきた。

しかし、この給食はそのレベルではない。

食材は小さく切られ、水分も非常に多い。

まさに噛まずに、流し込み食べをしてくださいと言わんばかりの献立だ。

そう言えば、かつて子ども達の歯科治療中には、唾液が溢れて大変だった。

排唾管で吸っても、間に合わない子どもが多かった。

乳歯冠の試適の際は、まるで金魚を指でつまむようにヌルヌルしたものだ。

もし口腔内に落とせば、医療事故につながる。

歯科治療において、唾液は“じゃまなもの”とさえ思えた。
(図2)
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しかし最近、唾液がたまらなくなった。

その分、治療は楽になったが、どう考えてもこれが正しいとは思えない。

子ども達の唾液の分泌量が減っているのではないか?

その理由は、食物の流し込み食べが増えたからではないかと思われる。

水分で流し込むと、体は唾液を出す必要がないからだ。

そもそも唾液分泌量のピークは、18歳前後とされる。

小児期に唾液腺の発達が不十分であれば、加齢とともに分泌量が低下する。

このことは味覚異常や口腔乾燥症の増加などにもつながる可能性がある。

そう考えると、この給食は歯科学的にも大きな問題だ。

ところで学校給食は、文部科学省で所要栄養量が決まっており、カロリーや栄養素(タンパク質、脂肪、カルシウム、鉄、ビタミン、他)の基準量が決められている。

これに基づき、献立が決められる。

しかし、この点に目を奪われると紙上の栄養価になりがちとなる。

その結果、おいしい給食から遠ざかってしまう。

給食は、栄養学的見地からのみ語られるものではない。

本来の栄養量は、口に入ってからカウントされるべきものである。

そのためも給食には、“見た目の良さ”や“おいしさ”が不可欠である。

同時に口腔の健全な発達を促すという視点も必要だ。

ここでお願いがある。

この読者には、学校歯科医をされている先生も多いことだろう。

もし学校歯科検診の機会があれば、学校給食を食べて欲しい。

そして、歯科的な問題があれば、改善策を提言していただきたい。

これも児童生徒の口腔の育成を図る、学校歯科医師としての務めであると思う。

続く

前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
⇒ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/