スマートフォン版サイト

MAIL MAGAZINE メールマガジン

ミュータンス菌の母子感染に思う その5 もっとも有効な予防法は?

2013年10月31日

“ミュータンス菌”をキーワードにインターネット検索したら以下の質問がヒットした。

1)赤ちゃんは3歳くらいまでに大人の虫歯菌が口に入らなければ、虫歯にならないというのは本当のことなのでしょうか?
私は信じきって気をつけていたのですが、先日義弟が5ヶ月の娘の手を口の中に・・・。
その直後に娘が指しゃぶり・・・。
目撃した私は卒倒しそうになりました。

2)先日、6か月の赤ちゃんの初節句で旦那さんの実家でお祝いしました。
その時に、姑が勝手に鯛をひとくち赤ちゃんにあげたのです。
しかも自分が使っていたスプーンで!最悪です。
たった1回ですが、うちの赤ちゃんの口の中はミュータンス菌が増殖していっているのでしょうか??
ちなみに今まで一度も使用済みのスプーンであげていません。
勝手に鯛を食べさせ、さらに使用したスプーンで・・・腹がたって仕方がないです。

3)ミュータンス菌は、3歳までに親からうつされなければ将来的にも虫歯になりにくいと聞きました。
本当ですか?
そうだとしたら特にどの程度まで注意するべきですか?
抱っこしたひょうしにチョット唾液が子供の口についてしまったとか、おばあちゃんが口にキスしたとか、そういうことで移ってしまうのでしょうか?

・・・・など保護者の過剰な不安が目につく。

さて、これまで述べてきたようにミュータンス菌の感染予防には、次の方法がある。

第1:保護者の齲蝕処置(保護者の菌数を減らすことで感染機会の減少)
第2:乳幼児の砂糖摂取を控える(菌の定着および増殖の抑制)
第3:スプーンの共用・噛み与えを控える(食事時の感染機会の減少)

なかでも第3の方法ばかりがセンセーショナルに取り扱われ、偏った情報が独り歩きしている。

ところで、この中で最も有効な方法はどれなのか?

読者も少し考えていただきたい。

第1・2という意見が多いのではなかろうか?

そこで周りの小児歯科医に聞いたところ、第1と第2の方法ばかりで、誰一人として第3の方法をあげなかった。

第3は新しい知見ではあるが、それが最も有効だとは言えない。

もう少し、保護者自身の口腔内を清潔にすることや、砂糖を与えないという基本的な知識を伝える必要があると思う。

話は変わるが筆者は、1歳0か月児の歯科健診に出向いてきた。

まだ乳前歯のみ萌出である。

ところでこの時期の健診で気がついたことがある。

歯が光っている様に見える幼児が実に多い。

(図1)

photo1

しかし1歳6か月・2歳0か月となるにつれ輝きが失われ、くすんだ様に見える。

問診票を見ていると、これが砂糖の摂取状況と見事に一致する。

砂糖が口に入りだすと歯垢が付着し、歯がくすむのだ。

これこそ、ミュータンス菌の感染を意味しているのだろう。

そこで1歳児歯科健診の時には、「この輝き維持するためにも砂糖の摂取を控えるように」と伝えている。

ミュータンス菌の感染予防のために「○○したらダメ!」と言う話と、「輝きを維持するためにも○○したらいいですよ!」という話。

どちらが、保護者の気持ちが前向きになるだろう。

 前 岡山大学病院 小児歯科 講師
 モンゴル健康科学大学(旧:モンゴル医科大学) 客員教授
 歯のふしぎ博物館 館長(Web博物館)
 岡崎 好秀
 ⇒ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/