2010年08月17日
今回は、1歳までの乳児期の指しゃぶりについて考えることにする。
ここに母親の発達記録がある。
これは多くの母親が、乳幼児のさまざまな動作について記録したものである。
その中で乳児期における手と口に関するものを抽出した。
*3週 男児: お腹のすいたとき、手を口に持っていこうとするが、うまくいかず手をバタバタさせる。
*1M: おっぱいを飲む時、ガーゼを握ったり母の脇をつかむ、何かに触りたいらしい。
*1M: 右手を握って、口元へ持っていってしゃぶっている。
フードについているボタンもクチャクチャしゃぶる。
*2M 女児: ベットにとりつけてあるメリーゴーランドが動くのを目で追うようになる。
指しゃぶりならぬゲンコツしゃぶりを始める。
眠いときなど両手のゲンコツをチュパチュパ音をたてて吸っている。
*2M 女児: 指のおしゃぶりをするようになり、一人でベットで起きているときに、そで口や指をペロペロなめる。
*2M 女児: 手を一生懸命しゃぶります。
時々じっと手を見て握ったり、開いたりします。
働けど働けど楽にならない、我が家の生活を知っているのでしょう。
*3M: 音の出るおもちゃをもたせると自分で振る。
指なめを楽しそうにおいしそうにする。
*3M: 自分の手が見えるようになった。
握りこぶしを不思議そうに動かしながら眺める。
*3M 女児: 指しゃぶりも盛ん、指を4本も口にいれて、豪快な音をたててしゃぶる。
指しゃぶりに口を取られて、あまり会話をしてくれない。
*3M 女児: 自分の手が一番のおもちゃ、にぎったり開いたりしてよく見つめている。
2・3本の指を口のなかいっぱいに入れるので、吐いてしまうのではと思い心配になる。
*3M 男児: 自分の左手をゲンコツのまま機嫌の良いときにしゃぶろうとする。
始めはうまく手が入らずイライラしているが、口に手がつくと声を立てながら吸っている。
*4M 女児: 指しゃぶりをするようになりよだれが出る。
*4M: 自分の手に興味を持ち、ずいぶん長い間表にしたり、裏にしたり眺めていることが多い。
*5M 女児: 手を動かしたり、口をすぼめたり下唇をなめたりして音がするのを楽しんでいます。
おっぱいを下の歯グキで噛んだり髪の毛を引っ張ったり、抱いている人の口に手を入れたり、いたずらっ子になりました。
寝ころんで自分の足を手でいじったり、口で頬張るのが好きです。
*6M: おもちゃ大好き,手あたりしだいなめている。
これが乳児の指しゃぶりの実態である。
ここでは指しゃぶりに関する項目は、1カ月目から始まり、3カ月時をピークにして5カ月目までに頻繁に見られ、以後減少する。
筆者は、「生後、手をさかんになめていましたか?」という質問をしたところ、92.8%の乳児が経験しており、その頻度は生後2カ月時で49.3%、3カ月で75.8%であった。
この時期の指しゃぶりは、誰もが行う普遍的な行為であることがわかる。
一般的に乳児の行動は、発達における意味が必ず存在するとされる。
そこで次回は、乳児期の指しゃぶりの意味について考える。
>>岡崎先生のホームペ-ジ
http://leo.or.jp/Dr.okazaki/