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小児歯科診療における治療の組み立て その1

2010年01月05日

今にも泣きそうな4歳児が来院しました。

疼痛はありませんが、口腔内は次のような状態でした。

1:上顎乳前歯  残根抜歯
2:右下E    抜髄処置
3:左下E    感染根管治療

先生は、どの順番で治療を進められますか?

さて成人では、スタディモデルやパノラマエックス線写真を見ながら、どのような順番で治療を行えば効率的に進むかを考え治療計画を立てます。

しかし小児の場合は、もう一つ考えておくべきことがあります。

例えば、恐怖心の強い子なら、どのように治療を進めれば次第にお利口になるだろう?

あるいは最後まで泣かれずに済むだろう?

また初診で泣いていても、どのように進めれば早く泣かなくなるだろう?

小児においては、これも治療計画の一部と言えます。

そこで筆者は、次のことを念頭に置きながら治療の組立を行っています。

1.初診では、歯垢を染色し小児に鏡を見せ歯磨き指導を行う。
     小児の信頼を得ることを第一義に考える。
     (応急処置は最低必要限のみ行う。)

2.簡単な処置から始める。(短時間で行えるもの・浅在性の齲蝕等)

3.低年齢児では齲蝕の進行抑制を優先する。

4.無痛的処置が可能な部位から行う。

5.痛くない麻酔の打ちやすい部位

6.小児にとって嫌な処置(麻酔の使用、長時間の処置)を行ったら、次回は簡単な処置を行う。

7.不協力児で歯髄除去療法が必要な場合は、生活歯髄切断法の2回法を考慮する。

8.不協力児においては、短時間で軟象除去とアイオノマ-等で暫間充填(1次充填)を行い、
     定期健診等で信頼関係がとれてから再充填(2次充填)を行う。

9.応急処置があるなら、それを優先させながら、他の処置が楽になるよう配慮する。(サホライドによる齲蝕の進行抑制処置)

10.前歯部の麻酔は痛点が多いため後回しにする。

このように考え、筆者は感染根管処置から開始します。

感染根管治療は、歯髄死に陥っているので軟化象牙質の除去・天蓋除去など無痛的な処置が可能なためです。

続く・・・。

 

>>岡崎先生のホームペ-ジ
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