2009年09月07日
「子どもが野菜を食べなくて困っています。なかでもピーマンは大の苦手です。
先生から食べるように言ってやってください。」
保護者からこんな相談を受ける。
確かに、ピーマンを嫌う子どもは多い。
調べてみると、子どもが食べたくない野菜の“ダントツNo.1”であった。
また同時に、親が食べさせたい野菜のNo.1でもある。
しかし“健康に良い”からと言って、無理強いして食べさせる必要があるのだろうか・・??
そもそも苦い味は毒である。
子どもは、味覚が鋭敏なため嫌がるのは当然だ。
それでは何故ピーマンは苦いのか?
その理由、他の動物に食べられないためである。
植物は苦い味を作り出すことで、体を守っているのだ。
ニコチンやアルカロイドが毒性を持つのも同じ理由である。
そう言えば、青いミカンは酸っぱい。
これも植物の防御作用である。
酸を出すことで他の細菌や虫から守ろうとする。
多くの細菌は酸に弱くpH5.0程度で死滅する。
齲蝕を作るミュータンス連鎖球菌はpH4.8、乳酸を出す乳酸菌でさえpH4.0より低下すると活動を停止し死滅する。
細菌が嫌がることは、虫や動物でも同じである。
ところでミカンは熟すと黄色くなりpHが上昇する。
これは種が成熟し、他の動物に食べられようとするためだ。
糞に混じった種は、遠くの地で発芽させることができる。
これも植物の生き残り作戦なのだ。
それでは青いピーマンはどうだろう?
そう!ピーマンも熟すと黄色やオレンジ色になる。
店頭で販売されている色とりどりのピーマンは、熟したものだったのだ。
このピーマンは美味しいから子どもも嫌がらない。
さて冒頭の相談に対しては、以下のように子どもに伝える。
「お母さんには内緒だけれど、実は先生も子どものころはピーマンが嫌いだった。だけど大人になったら食べられるようになったよ。」
こうすると、子どもは“大人になったら食べられる。”と思ってくれるのだ。
>>岡崎先生のホームペ-ジ
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