MAIL MAGAZINE メールマガジン

“泣きの予防”その3 PMTCは治療の練習

2008年11月04日

前回まで
1.保護者による歯磨きでチェアー上に誘導し、
2.術者磨きにより、
診療時における呼吸調整を教える方法について述べました。

今回はこの続きです。
次に、「上手にできたから、ご褒美のお薬をつけてあげよう!イチゴとブドウのどっちのお薬が良い?」と言って低濃度のフッ化物のジェルを子どもに選ばせます。

 

(図1)
低濃度のフッ化物のジェルを選ぶ子供

 

そして歯ブラシで磨きながら塗布します。

さらに“歯医者さんの歯ブラシで磨いてあげよう!”と言って、コントラにプロフィブラシを装着し先ほどのフッ化物をつけます。
“歯医者さんの歯ブラシ”は“歯医者さんの電動歯ブラシ”という言葉に置き換えても良いでしょう。

最初からコントラは回転させず、手を動かせるだけです。
歯ブラシと同様、5数える間だけコントラを動かした後、それを抜いて呼吸を整えながら行います。
慣れたら、徐々に回転させ歯面の研磨(PMTC)を行います。

 

(図2)
歯面の研磨(PMTC)

 

この時、前歯より臼歯部を優先させます。
臼歯部は、前歯部より感覚が鈍く嫌がる可能性が低いためです。
この一連の動作は、コントラで軟化象牙質を除去するトレーニングになります。

さらに、コントラが注水可能な場合には、バキュームを引きながら行います。

 

(図3)
バキュームを引きながらの研磨

 

水が出ることは、タービンの練習でもあります。
ここまで平気でできれば、バキュームを引きながら、タービンを回転させます。

 

(図4)
バキュームを引きながらの研磨

 

これで、実際の治療に即したトレーニングがすべて完了したことになります。
初診時に、トレーニングの一環として歯科衛生士が行えば、以後の治療が効率的に進みます。

筆者は、これを研修医の教育にも応用しています。
PMTCは、薬指をレストとして歯に固定点を求め、全歯面を研磨します。
これは形成時、患歯にバーを的確に当てることにつながります。
なかでも小児の口腔は狭く、目的の部位にバーを到達させることは難しい場合があります。
歯面研磨する歯には、齲蝕があるとイメージしながら行います。

 

(図5)
歯面研磨

 

すなわちPMTCは、タービンによる形成を、より安全に行うためのトレーニングでもあります。
PMTCは、単に歯をきれいにするのみならず、歯科治療に対して慣れさせ、さらには新人教育にも応用できるのです。

 

>>岡崎先生のホームペ-ジ
http://leo.or.jp/Dr.okazaki/