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“泣きの予防”その2

2008年10月20日

“泣きの予防”のコツは、子どもの立場で考えることです。
どのように誘導されると、気持ちが楽になるかを考え実践します。

さて前回は、保護者に歯を磨いていただくようにすると、子どもがチェアーに上がりやすいと述べました。
そして保護者の後は、術者が歯を磨く番です。
ここでの歯磨きを、“口の中をきれいにする”だけではもったいないと思います。
“歯を磨く”という行為を通じて、以後の処置に対し、より協力的になるように誘導すれば、さらに有利です。

今回は、この点について述べます。

ここで、少し想像してください。
自分が患者さんであり、タービンで歯の形成される時。
あなたは、どのような呼吸をしているでしょうか?

そう!形成時には息を止めています。
そうしないと、水が気管に入りむせてしまいます。
次に、印象の時は、どうでしょうか?
トレーが近づくにつれ、大きく息を吸い込みます。
そして、トレーを挿入する瞬間には息を止めます。
これらから、患者さんは、術者の動きに合わせ、呼吸調整をしていることがわかります。

さて、私が歯科検診をするとします。
私が、ミラーを口の方へ持っていきました。
その時、ミラーに合わせ息を吸い、口への挿入と同時に息を止めます。
ところが、検診に時間がかかり、挿入したままだと、どうでしょうか?

唾液がたまって苦しくなり、早くミラーを抜いて欲しいと思います。
溜まった唾液を飲み込むには、まず口唇を閉じなければ嚥下できません。

やっと、ミラーが抜けました。
ホッ! として口唇を閉じて唾液を嚥下します。
そして息を吐き、続けて息を吸います。
長いこと検診されていると苦しいことがわかります。

繰り返しますが、患者さんは私たちの動きに合わせて呼吸をしています。
しかしこれができないのが、子どもや障害児・者なのです。
歯にばかり目が行き、呼吸のことを忘れると苦しいのです。
だから、嫌がるのかもしれません。
呼吸調整が上手になるまでは、器具を早く抜くと楽です。
そこで術者磨きを通して、楽に呼吸できるように誘導します。

まず最初に、5数える間だけ磨き、歯ブラシを抜きます。
そうすると、唾液を嚥下し、呼吸調整をします。
これを確認したら、また歯ブラシを視野に入れ磨きます。

 

(図1)

(図2)

(図3)

 

これを繰り返すと、5数える間だけ口を開ければ良いことがわかります。
同じペースで行うと息が合ってきます。
ある程度、息が合えばゆっくり数えると、長い処置が可能となります。
子どもを術者の動きに合わせて、呼吸するように誘導しておくと処置が楽になります。
明日から早速、試してみてください。

 

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