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口腔内のホメオスタシスと血管内のホメオスタシス

2008年07月07日

これは、ステファンのカーブである。

 

(図1)
ステファンのカーブ

 

ブドウ糖を摂取した後の歯垢中の変化を示している。
摂取直後からpHが低下し始め、臨界脱灰値より低下すれば歯は溶かされる。
その後、唾液によって中性に元に戻る。

ところでこの図を上下逆にしたら、“ある検査結果”を時系列的にみた場合と同じカーブとなる。

それは何であろうか?
すこし考えていただきたい・・・。
生活習慣病に関係のある検査である。

正解は、血糖値だ。
食物を摂取すると吸収され、血糖値が上昇する。
そこで膵臓からインスリンが分泌され、血糖値が元に戻る。

 

(図2)
間食後の血糖値の変化

 

これはステファンカーブとまったく同じではないか。
歯垢中でも血液中でも、ホメオスタシスが働いていることがわかる。

さてオカシのダラダラ食いをしたとしよう。
口腔内では、歯垢pHが低下した状態が続き齲蝕を誘発する。

 

(図3)
ダラダラ食いと虫歯の関係

 

一方、血液中のブドウ糖はインスリンの働きにより肝臓や筋肉に蓄えられる。
これが過剰になれば、脂肪に変換され皮下に貯金される。
そして肥満となる。

 

(図4)
ダラダラ食いと血糖値の関係

 

さらに過食が続けば、インスリンの枯渇やインスリン抵抗性のため糖尿病に移行する。

すなわちダラダラ食いは、齲蝕の原因となるばかりでなく肥満の原因ともなることがわかる。
事実、肥満の疫学では、まずダラダラ食いがあげられる。
病気は、ホメオスタシスの崩れた部分に発生することがわかる。

 

>>岡崎先生のホームペ-ジ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/