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ミュータンス菌の母子感染に思う その1

2013年08月19日

ミュータンス菌は、齲蝕の発症と深いかかわりを持つ。(注1)
近年、齲蝕はミュータンス菌の感染によって起こるとされる。
菌の由来は、主として子どもと接する機会の多い母親であるそこで齲蝕予防は、菌の感染を防ぐことから始まる。

さて、ここで電車の乗客を例にして、ミュータンス菌の移り変わりについて説明する。
格納庫である母体では、誰も乗客はいない。
まず始発駅で乗車するのは、乳酸桿菌と呼ばれる乗客である。
始発駅は、出生時の産道にあたる。

続けて、歯の萌出駅を通過すると、ミュータンス客が乗車し始める。
この客の多くは、出発して19から31か月の駅で乗車する。
19か月駅で25%、31か月駅で75%に乗車率となる。
そこでこの区間は“感染の窓”と呼ばれる。(注2)

(図1)

さて、この客は好みの列車がある。
砂糖席の多い列車だ。
この席があれば、すぐに大混雑となる。
客が席を食い荒らし、ネバネバ物質を作り出すと掃除がたいへんだ。
さらにそれを、あらゆる場所に塗りたくる。
掃除を怠ると、ネバネバ物質の下で酸を出し列車を壊し始める。
しかも一度、乗車させると下車させるのは至難の技である。
PMTCという大掃除や除菌剤を利用しても完璧ではない。(注3)

しかしこの客、砂糖席のない列車には乗りたがらない。
この区間に乗車させなければ、それ以後は善良な客が乗車する。
そんな客で満員にすれば、ミュータンス客が乗車できなくなる。(注4)
しかもその間に、カルシウムの塗装が進み列車の性能も高まる。(注5)
かくして列車は、80年間走り続ける基礎を築くのだ。

そこで、母子間のミュータンス菌の感染機会を減らすことが齲蝕予防の第1歩である。
その対策は・・・

(1)母子間で、スプーンや皿などを共有しない。
(2)母子間のキスを控える。
(3)母親が子どもに噛み与えをしてはいけない。
(4)母親は熱い食べ物などに息を吹きかけて与えてはいけない。

などがあげられる。
もっともな対策である。

しかし、困った問題も起きている。

つづく

(注1:ミュ-タンス連鎖球菌)
(注2:Caufieldら1993)
(注3:Professional Mechanical Tooth Cleaning)
(注4:細菌叢が完成)
(注5:歯の石灰化・萌出後成熟)

 前 岡山大学病院 小児歯科 講師
 モンゴル健康科学大学(旧:モンゴル医科大学) 客員教授
 歯のふしぎ博物館 館長(Web博物館)
 岡崎 好秀 ⇒ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/