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イルカの歯のふしぎ その6/ハクジラの歯

2013年07月12日

今回は、イルカの歯について述べてみる。
クジラは歯のない“ヒゲクジラ”と歯を持つ“ハクジラ”に分けられる。
(図1)

もちろんイルカはハクジラの仲間である。
歯は、すべて同じ形の同形歯性で、萌え代わることのない一生歯性でもある。

ハクジラの仲間は、食性に応じて歯の大きさが異なる。

(1)小魚や小さいイカを好むもの(イルカ)
(2)イカ類を好むもの(マッコウクジラ)
(3)大型の魚類や哺乳類を好むもの(シャチ・オキゴンドウ)に分けられる。

(1)の小魚を好むイルカは、歯が小さく尖っている。
吻の長さによって歯数は異なるが、よく見られるハンドウイルカでは上下左右それぞれ18~26本の歯を持つ。
エサの丸飲み食べをするため、顎を側方に動かせる必要がない。
そのため舌小帯は短く、舌の可動域が少ない。
その割に舌は肉厚で筋肉量が多い。
捕食の際、舌骨と連動させ舌根部を一気に引き下げ、口腔内の容積を増加させてエサを吸い込み嚥下するためだ。
(図2)

(2)のマッコウクジラは、下顎に左右それぞれ20~28本の歯を持つ。
上顎にも歯があるが萌出することはない。
そのため上顎には、下顎の歯を収めるソケットのような窪みがある。
(図3)

これらのハクジラは、歯を使う機会が少ない。
しかし、(3)のシャチやオキゴンドウは、立派な歯が生えている。
大型の動物を食べるには、エサをかじり取る必要があるためだ。
シャチでは上下・左右それぞれ10~12本の歯を持つ。
(図4)

余談ではあるがマッコウクジラは、歯により年齢を推定することが可能である。
象牙質には、縞模様があり年に1本ずつ刻まれる。
そう! 木の年輪と同じなのだ。しかし加齢とともに下顎の歯が摩耗し、次第に判定が困難となる。
そこで、一生歯グキの中に残される上顎の歯を利用する。
(図5)

歯による推定では、クジラの最高齢は76歳となっている。

それでは、歯を持たないヒゲクジラはどうだろう?
なんと!耳垢を利用する。
クジラは水中生活のため耳介はないが、眼の後ろに小さな外耳孔がある。
しかし使うことがないので、ロウ状の耳垢によって塞がれている。
この栓を切ると、歯と同様に縞模様が表れる。
(図6)

いやはや、いろいろな推定方法があるものだ。

つづく

 前 岡山大学病院 小児歯科 講師
 モンゴル健康科学大学(旧:モンゴル医科大学) 客員教授
 歯のふしぎ博物館 館長(Web博物館)
 岡崎 好秀 ⇒ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/