2018年08月31日
“鼻うがい”をインターネットで検索すると、耳鼻科医師が勧めている記述が多い。
現在、便利なキットがドラッグストア等で販売されている。
筆者も数年前から、インフルエンザ予防や花粉症対策として鼻うがいを行ってきた。
まず、鼻腔内を洗浄すると、鼻がすっきりしよく通る。
風邪などで上咽頭に痛みがある時、そこまで届いていることがわかる。
(図1)
また鼻をかんだ後、残った鼻水も洗い流すことができる。
それを白い洗面器に受け、流れ出てドロドロした粘液を見ると驚いてしまう。
ここで、具体的な洗浄方法と注意点をまとめてみた。
まず、洗面台や風呂場で、顎を引きやや前傾姿勢をとる。
プラスチック容器を押し、洗浄液(生理的食塩水)を鼻腔内に入れる。
そして、鼻腔内の汚れを軽く洗い流すイメージで行う。
洗浄液は、鼻中隔後方の上咽頭付近まで達し、反対側の鼻孔や口から出る。
(図2)
もちろん、飲み込んでも胃酸により無毒化されるので問題はない。
これを左右交互に二~三回ずつ行う。
“エ~”と声を出しながら行えば、耳への負担が軽くなる。
洗浄後は、軽く鼻をかむ。
強圧をかけると、中耳炎を引き起こす可能性があるためだ。
頻繁に行うと、粘膜を保護するムチン層(ムチン型糖タンパク質)※
が取れるので、一日一度を目安にしている。
頭部の角度などにより副鼻腔に入り込み、後で下を向いた際に鼻孔から流れ落ちることがある。
これは水泳後、よく経験することである。
もちろん、耳鼻科疾患の既往がある場合、医師と相談することも必要だ。
さて、ネバネバした鼻水は、鼻をかんでもすべて除去できない。
そんなケースでは、食品用の重曹(炭酸水素ナトリウム)を2.5g加える。
鼻水の粘性を弱めると同時に、粘膜刺激を抑える作用もあるためだ。
(図3)
以上、鼻うがいは簡単にできるお勧めの方法である。
さて今年の冬、インフルエンザの患者数は21世紀に入り最大だった。
感染経路の多くは、”飛沫感染”・”接触感染”によるものだ。
(図4)
感染者が、診療室内で咳やクシャミをすればウイルスが漂う。
従って、歯科医療従事者は感染に対するハイリスクの職業といえる。
また罹患すれば、自分自身のみならず他人にも迷惑を及ぼす。
そこで学校保健安全衛生法では、発熱後5日間など出席停止の期間が定められている。
これは園児や児童だけでなく、教職員にもいえることである。
現在、大学病院の職員に対しても、同様の処置がとられているという。
しかし、個人の歯科医院ではどうだろう?
感染が広まれば診療が廻らない。
インフルエンザの予防は、予防注射・日常的な手洗い・マスク着用などがあげられる。
でも同時に、診療後の”鼻うがい”の励行も予防策の一つである。
前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
⇒ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/
※ 2018年10月19日修正:ムチン層→ムチン層(ムチン型糖タンパク質)