2018年02月05日
2歳~12歳までの子ども約1000名の歯磨き動作を撮影した。
そして、その変化について詳細に観察した。
不思議なことに4・5歳では、
上顎の臼歯の咬合面を磨こうとするケースは少ない。
どうしてだろう?
さて子どもが、下顎臼歯の咬合面を磨く時、
拇指を対向させ歯ブラシを”つかんで”(Precision Grasp)持つ。
しかし、このままの持ち方で上顎の咬合面を磨けばどうだろう。
これでは、持ちにくいし力が入らず磨けない。
そこで子ども達は、クルリと歯ブラシを180度回転させて磨きだす。
しかし脇が開くため、歯ブラシを固定できず安定が悪い。
また、手首を上顎歯列の咬合平面と平行にして磨かねばならぬ。
これらの理由から上顎の歯磨きは下顎に比べて遅れるのだ。
実際、幼稚園の年長児を観察すると、
両側の上顎咬合面を磨くのは半数に満たない。
次に、咬合位で左右の頬側を磨く時。
右側側は手首を返して磨く。
しかし、左側では、人差し指で歯ブラシのヘッドを押さえる。
人差し指の分離は、年長児から小学校1年生で増加する。
これはエンピツなどを使用する機会と関係しているのかもしれない。
かくして、人差し指、中指、薬指が分離し軽く歯ブラシをつまみ(“つまむ”・Pinch・ペングリップ)、
目的の歯面に毛先を当てることができる。
さて、ここで第1大臼歯について考える。
通常、下顎の第1大臼歯は上顎よりむし歯になりやすい。
ところが歯磨き指導をすると、
意外と下顎は上顎に比べ予防効果が上がりやすい。
その理由…
下顎は、鏡で歯ブラシの毛先が届いていることを確認できる。
しかし、上顎は直視できないし、3次元的な位置関係の認知も難しい。
そこで、手首を返し人差指で上の第1大臼歯を触らせ、そのまま指で磨かせる。
この状態のまま、歯ブラシを持たせると毛先が当たるのだ。
続く
前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
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