MAIL MAGAZINE メールマガジン

歯科医から見た学校給食 その【1】二つの給食

2014年11月27日

最近、全国の小学校で子ども達や教職員を対象に話す機会が増えた。

午前中に話が終わると、たいていの学校では給食を勧められる。

よほどのことがない限り、いただくことにしている。

子ども達が、どのような給食を食べているのか興味があるからだ。

先日、高知県の山村にある某小学校でもいただいた。
(図1)
okazaki01_20141128

ここの給食は素晴らしかった!

アマゴが丸一匹出てきたのだ。

子ども達は、それを頭からかじりついて食べている。

野菜はスティック状に切ってある。

しかも、汁物は具だくさん!

まさに地産池消の食材ばかりだ。

教室は、子ども達の笑顔で溢れかえる。

同時に、歯科医師としても大歓迎!

実に、良く噛んで食べるように工夫されている。

きっと調理師は、誇りを持って仕事をされているに違いない。

そう言えば先日、ある小学校の校長先生と話をしていたら、こんなことを言われた。

「夏休みが終わると、痩せて登校してくる子ども達がいます。

夏休み中は、家庭でろくなものを食べさせて貰っていないのです。」

そのような子ども達は、学校給食が最後の砦となっているのだ。

さて、これは別の小学校での給食。
(図2)
okazaki02_20141128

一瞬、言葉を失った。

食材は小さく切ってあり、噛む必要はほとんどない。

水分が多いので、多くの子ども達は流し込んで食べている。

まるで、高齢者施設での食事のようだ。

もちろんこれは、たまたま出たものかもしれない。

給食の現場からの意見もある。

硬い食材を入れると残飯が増加すると言うのだ。

それでは学校給食は、誰に合わせて調理をしているのだろう?

“教育現場では、誰に合わせて教育をしているの?”と苦言を呈したくなる。

この二つの給食。
(図3)
okazaki03_20141128

栄養学的には、両者とも充足されているのだろう。

しかし、どちらを食べている子ども達がより健康になるだろう?

学校給食法では、“子どもの健康のために実施されなければならない”と記されているではないか。

どうやら子ども達のう蝕が二極化しているように、学校給食も二極化しているらしい。

続く

前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
⇒ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/