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ダーウイン医学その3 進化と腎臓機能

2009年03月02日

前回、進化の過程で魚類は、直接地上に上がり両生類になったのではなく、いったん海水魚が淡水魚となった後に上陸したと述べた。

ここで、海水魚が淡水で生き残るための体のシステムについて簡単に紹介する。
まず地殻変動により、海が浅くなり水たまりが出来る。
そこに雨がたまり淡水に近づいて行く。
とり残された海水魚が淡水魚に進化するのだ。

海水魚が、淡水に入れば浸透圧のため水ぶくれ状態になる。
それを防止するためには、多量の水分を排泄する必要がある。
そこで腎臓の糸球体では、血液から水分を取り除き排出させようとする。
これが原尿である。
すなわち腎臓機能発達の第1段階は、体外に水分を排泄するためにできたと言える。

ではヒトの腎臓では、どうして尿細管で再吸収させるのだろうか?
これも進化の過程から説明できる。
淡水は、海と異なり干上がることもあるだろう。
両生類の誕生は、淡水魚が好んで地上に上がったものではなく過酷な環境が作り出したものであったのだ。
地上に上がると太陽の光をまともに受け、体内の水分が奪われる。
乾燥が待っているのだ。
そのためには皮膚の仕組みを変化させなければならない。
それに、水分を体外に排出させるのはもったいない。
そこで体は考える。
水分を再吸収させれば良いではないか。
そう!こうしてできたのが尿細管である。

ヒトの腎臓は、このような経過で発達して来たのである。
それ故腎臓は、一度排泄した水分を再吸収するややこしいメカニズムを持っていたのだ。

 

(図1)

 

進化からヒトの体を捉えなおすとさまざまな発見がある。

 

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