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“泣きの予防”その4 正の言葉がけ・負の言葉がけ

2008年11月17日

今回は、子どもを泣かさないための言葉がけについて述べます。

さて子どもに麻酔をする時、どのような言葉がけをしていますか?
最もよく聞かれる言葉は「痛くないよ~」ではありませんか?
でも「痛くないよ~痛くないよ~」と言われ注射を打たれてきます。
だから子どもにとって、これは信用のない言葉と言えます。
また「怖くないからね・怖くないからね」も同様です。

さて言葉がけには、2つの種類があります。
1つはこれを聞いたら、“よし、頑張ろう!”と思い勇気づけられる言葉。
これを“正の言葉がけ”と言います。
もう1つは、聞くと不安になる言葉です。
これが“負の言葉がけ”です。
先ほどの、「痛くないよ」も負の言葉がけであることがわかります。

さて、“正の言葉がけ”には次のようなものがあります。
例えば「上手に出来ているよ!」「おりこうだったね!」
「上手に出来たら、後でお母さんにほめてもらうよう言ってあげよう。」
「エッ!4才なの、あまりおりこうだから5才と思っていた。」などです。

ここで“正の言葉がけ”が簡単に使えるコツを伝授しましょう。
それは“さすが~!”に続く言葉を利用することです。

例えば、麻酔を打った瞬間、何か言わなければなく可能性が一気に高まります。
ここで“さすが~!”に続く言葉の登場です。
ちょっと考えてみてください。

“さすが~小学校1年生”。
“さすが~お兄ちゃん”。
“さすが~男の子”。
“さすが~○○幼稚園”
どうですか?こう言われれば泣けません。

このフレーズをいつでも使えるように、カルテには兄弟の名前、幼稚園名やクラス、などをメモしておきます。
次にバージョンアップ版です。
「さすが~○○組さん、そう言えば○○組さんのお友達は、みんな上手でお利口なお友達ばかりだ~。」
こう言われると、ますます泣けません。

調子に乗ってさらにバージョンアップします。
「さすが~○○組さん、○○組さんと言えばケンちゃん(←ありそうな名前)
知っている?」
「そう知らない、それじゃあミッちゃん(←これもありそうな名前)知っている?」
「そう!知っている。ヘエ~お友達なんだ!アキちゃんは、とってもお利口だけれど、○○ちゃん(患児の名前)もお友達だけあって“さすが~”にお利口だね。」となります。
このような正の言葉がけは治療中常に行うのではなく、最も言葉がけをしてもらったら“ありがたい”ときに行うと効果的です。
このことは処置の前や麻酔時・タービン使用開始時などの緊張や不安感が増すときが特に有効です。

次回は、言葉がけの“裏ワザ”を紹介します。

 

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