MAIL MAGAZINE メールマガジン

口呼吸がなぜ増えるのか? その4 口遊びの復権

2008年04月21日

口呼吸の増加の一つとして、食生活の変化による口腔機能の発達不足を指摘した。
さて、口呼吸と口唇閉鎖力には大きな関係がある。
そこで年齢別の口唇閉鎖力について調査した。
4歳児から10歳まで急激に平均口唇閉鎖力が増加するが、それ以降、増加傾向が緩除となった。

 

(図1)
各年齢群における平均口唇閉鎖力

 

また、年齢とともに個人差が顕著になる傾向があった。
これは幼児期における口唇閉鎖力の弱さが、年齢とともに顕在化していると考えられる。

 

(図2)
各年齢群の口唇閉鎖力のパーセンタイル値

 

言い換えれば、幼児期に口唇閉鎖力を発達させる取り組みが必要なのだ。
さて、発達期における機能の向上には、口遊びが欠かせないように思っている。

口遊びには、“かざぐるま”、“シャボン玉”、“わらべ歌のにらめっこ”、“ラッパや笛”、“口笛”、“草笛”、“風船”、“風船ガム”などさまざまなものがある。ところが最近、このような遊びを見かけない。

実際、口笛は口唇閉鎖力と大きな関係がある。
閉鎖力が弱ければ口笛がふけないのだ。

 

(図3)
口唇閉鎖力と口笛との関係

 

そこで、ある幼稚園で1年間風船ガムを利用して口遊びを行った。

 

(図4・5・6・7)
風船ガムを利用た口遊び(大きな風船) 風船ガムを利用た口遊び(二重風船)

風船ガムを利用た口遊び(親子風船) 風船ガムを利用た口遊び

 

当初6割の子ども達がガムを膨らませることができなかった。しかし、1年後にはほぼ全員できるようになったのだ。

 

(図8)
風船がムトレーニング結果

 

さらにそれに伴い口唇閉鎖力も向上した。

 

(図9)
風船ガム訓練による口唇閉鎖力の変化

 

かつては、口遊びを行う中で自然に機能を発達させてきたのであろう。
歯科いしとしての立場から、口遊びの復権を目指したいものである。

追加:残念ながらキシリトール入りの風船ガムは現在販売されていない。通常のガムと風船ガムは、ガムベースが異なるだけなので製造は容易である。しかしキシリトールガムは、早く味がぬけるため製造されていない。そこで特注で風船ガムを作ってみたが1個20円もかかってしまった。どこかの業者に製品作りに御協力いただけないだろうか。

 

>>岡崎先生のホームペ-ジ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/