2018年05月02日
インフルエンザの予防には、気道を加湿することが重要である。
寝る前に少し鼻がつまっていると、翌朝たいてい喉がイガイガしている。
インフルエンザは、朝に気がつくことが多い。
これは就寝中、口が開くためだ。
しかも夜間、唾液は分泌されない。
もし分泌されれば、唾液でムセて眠れない。
だからなおさら乾燥する。
ウイルスが増殖するには絶好の機会となる。
なにせこのウイルスが体内に1つ侵入すると、24時間後には100万個に達する。
そこで予防法として“ぬれマスク”の出番である。
(図1)
ガーゼマスクをお湯に浸して軽く絞り、マスクをして眠るだけだ。
こうすれば、吸気に含まれる水分が気道全体に行き渡る。
しかも、口呼吸が抑制され鼻呼吸が促進される。
ポイントは、マスクの上部を1/3ほど外側に折り曲げ鼻を出す。
これで、マスクの厚みが増すことで加湿効率が高まる。
(図2)
かくしてウイルスの侵入を防げるのだ。
ちなみに医療用の不織布タイプのマスクは、吸水性に問題がある。
筆者は、これを20年以上行っている。
風邪を引きそうだと思ったら、必ず行っている。
鼻がつまるだけであれば、まだ炎症が上気道に限局されている。
しかしウイルスが増殖し、下気道まで達すると咳などの呼吸器症状が現れる。
しかし“ぬれマスク”のおかげで、ひどい風邪を引いたためしがない。
どうやら、加湿によりウイルスの増殖ばかりでなく、下気道への炎症の波及も抑えられるのだろう。
しかも喉が潤うので、声が嗄れることもない。
風邪を引きそうに思われたら、是非試していただきたい。
続く
参考:(参考:『こんなに効くぞぬれマスク』臼田篤伸著/農文協刊)
耳より情報 ビックコミック誌「はっぴーえんど」その2
先日、“ビックコミック”に連載中の「はっぴーえんど」を紹介した。
これは“在宅医療”を取り扱ったマンガであり、現在訪問歯科医療の現場が描かれている。
初回は、自宅療養中の末期がん患者が、歯が悪いためマスクを外さなかった。
(第29話 2018年3月25日号)
(図3)
第2話では、歯科医師が往診し、義歯を調整することで“せんべい”を食べることができた。(第30話 2018年4月10日号)
(図4)
第3話は、義歯と口腔ケアのおかげで、劇的に体調が回復した。
ひょっとしたら末期がんが消えたのではないかと思われる。
そして弁当を作り花見に出かけ、「義歯は命の次に大切です」とまで述べている。
(図5)
作者の魚戸おさむ氏は、歯科界から何かワイロでも・・と思ってしまう展開だ。
さて次号の第4話は、本シリーズの最終回。
衝撃の結末を迎えることになる。
これは筆者の経験を基に描かれたものである。
歯科医療従事者は、“なんて素晴らしい仕事なのだろう!”と感動するに違いない。
次号は、5月10日の発売予定である。
乞うご期待!
前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
⇒ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/