2018年04月02日
鼻腔は、さまざまな防御作用を持つ。
まず入り口には、鼻毛が生えている。
さらに鼻腔、喉頭、それに気管などの粘膜には、線毛上皮細胞がある。
長さ0.1mm、 直径0.001mmの線毛は、1秒間に20回以上の速さで活発に動く。
同時に粘液に満たされ塵や埃、さらには細菌やウイルスが付着する。
そして、まるでベルトコンベアのように異物を運び体外に排出する。
しかし寒くなると線毛の働きが鈍くなる。
そのため、加温が必要だ。
鼻腔内は複雑で、毛細血管が多いのはこのためである。
さて唾液は1日1L~2L分泌されるが、鼻腔からも水分が分泌されている。
どの程度だろうか?
1:牛乳ビン1本(200mL)
2:牛乳ビン5本(1000mL)
3:牛乳ビン10本(2000mL)
牛乳ビン5本、約1000mlが正解である。
どうして、かくも多量に分泌されるのか?
一つは、嗅覚には水分が必要だ。
臭い物質がそれに溶け、嗅球が感じる。
もう一つの理由は、肺は乾燥に弱いのだ。
そもそも、肺は魚類のエラが体内に入ったものと言える。
魚類は水中でエラ呼吸をしていた。
エラで酸素を取り入れ、二酸化炭素を出す。
すなわちガス交換は、湿度100%の状態で行われていたと考えればわかりやすい。
そこでヒトでの肺でも湿度は、ほぼ100%になっている。
これは冬に吐く息が、白く見えることからもわかるだろう。
さてインフルエンザは、冬に流行する。
このウイルスは、乾燥に強く湿気に弱いためだ。
だから湿気の多い夏場には流行しない。
ウイルスが100いるとすると、
気温20℃ 湿度60%の状態では、6時間後で5%しか生き残れない。
95%まで死滅するのだ。
しかし湿度が30%の状態では、約半数が生き残る。
湿度が30%から60%に上がると、ウイルスは1/10に減少する。
口呼吸の場合、乾燥した空気が直接喉の奥に達する。
従って、ウイルスが侵入しやすい。
しかし鼻呼吸では、湿気のバリアーが働く。
鼻呼吸は天然のマスクと言えるのだ。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
耳より情報 ビックコミック誌「はっぴーえんど」
“ビックコミック”と言えば、代表的な男性マンガ雑誌。
今年50周年を迎え、”ゴルゴ13″など有名マンガを数多く輩出している。
さて現在、そこに「はっぴーえんど」が連載されている。
作者は”家栽の人”、”玄米先生の弁当箱”、”ひよっこ料理人”
などで有名な魚戸おさむ氏である。
主人公の天道医師は、在宅医療の専門家である。
現在、そこに訪問歯科医療の話題が登場している。
歯科に関する部分は4話構成。
初回は、胆のうガンで自宅療養中の女性の歯が悪く、マスクを外さない。
(第29話 2018年3月25日号)
現在発売中の第2話は、
そこに歯科医師が往診し義歯の調整をし
“せんべい”を食べ笑顔になるシーンがある。
(第30話 2018年4月10日号)
残念だが第3話・第4話は、発売前なので公表できない。
しかし作者によると、歯科医師として誇りに思える展開になるらしい。
魚戸おさむ氏より「乞うご期待!」との由。
注:最新号(第30話)は、まだコンビニなどに残っているかもしれません。
(ビックコミックのホームページからは第29・30話とも注文可能)
前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
⇒ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/