MAIL MAGAZINE メールマガジン

インフルエンザ考【その2】

2018年03月19日

インフルエンザウイルスは、口腔の奥の粘膜から侵入する。

そのため歯科医療従事者は、ハイリスクの職種と言える。

日常的な予防法は、手洗い・うがい等があげられる。

しかし、もっと他の感染対策についても知っておく必要があるように思う。

さて、インフルエンザの感染予防の一つとしてマスクがあげられる。

ここでクイズを一つ。

ガーゼマスクの網目をトンネルの大きさとしたら、
インフルエンザのウイルスはどの位の大きさになるだろう?

1:ウシ
2:イヌ
3:アリ
 
もちろん、アリより小さい。

インフルエンザウイルスの大きさは、約0.01ミクロン。

ちなみに一般的に使用される不織性マスクの網の目は5ミクロン程度である。

ならば、マスクには予防効果がないことになる。

しかし効果はある。

ここでその理由について考えてみよう。

さて筆者は、定期的にモンゴルへ行っている。

冬には気温が-40℃位まで低下することがある。

ちなみに-15~-20℃で凍ったバナナで釘を打つことができる。

あくびで涙が出ると一瞬のうちに凍って目が開きにくい。

また、鼻毛も凍ってバリバリになる。

そこで次のクイズ。

-40℃の冷たい空気を鼻から吸い込むと、喉の奥では何度位になるだろうか?

1:-20℃
2:0℃
3:20℃
4:30℃

ヒトの体は、おもしろい。

何度の空気を吸っても、体温近くになるという。

たった10cmの鼻腔を通過するだけで、ここまで上がるのだ。

鼻腔内のたくさんの毛細血管によって加温されるのだ。

肺は、冷たい空気に弱い。

冬の早朝に、口を開けて歩くと肺が痛くなるのもこのためである。

そう言えば、モンゴル相撲の力士は頬骨が張った顔をしている。

副鼻腔の容積を広め加温し、寒冷地の気候に適応しているためだ。

続く

前 岡山大学病院 小児歯科 講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
岡崎 好秀
http://leo.or.jp/Dr.okazaki/