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おもしろ唾液学~その7 【齲蝕活動性試験について(CAT21テスト)その1】

2004年03月01日

最近、“トリビアの泉”なる番組がある。

これは、実生活では直接役に立たないが、それを身につけることで妙な満足感が味わえる無用の知識を競う番組であり、そのおかげで“へぇ~”という言葉が流行っている。
 
 
さて、ある歯科医から寄せられたトリビアであるが・・

“昔、齲蝕活動性試験は健康保険の適用であった”

これに対し、私はそうだったと思い出すのであるが・・。若い先生方は“へぇ~”と一様に驚かれる。

齲蝕活動性試験が保険に認められたのは,1980年ごろであった。

わが国の保険が治療中心の制度であった時に、予防が適用されたのであるから、今から考えても画期的なことであった。

カリオスタット法(図1)は、岡山大学医歯総合大学院・行動小児歯科教授・下野助教授により開発された方法で、当時、もっとも応用頻度が高かった。

 

図1

 

しかしながら当時は、乳歯齲蝕の洪水といわれた時代であり、齲蝕を主訴とした小児に応用しても、+2・+3などの悪い結果しか出ないと言われた。

また、齲蝕の治療に追われる時代では、定期健診で有効利用することができなかった。

そこで齲蝕活動性試験の研究は、まだ齲蝕の少ない小児を対象として応用された。

たとえば、1歳6か月児歯科健診のスクリーニング法として、公衆衛生的に利用し、ハイリスクの小児に重点的に指導することにより齲蝕予防の実をあげてきた。(図2)

 

図2

 

一方、数年前より、山形県の熊谷崇先生を中心としたグル-プが、Dentocult-SM Strip-mutans、Dentocult-LB等を診療室で応用し、齲蝕予防管理に役立てておられる素晴らしい実践を行われ、齲蝕活動性試験を診療室で積極的に応用する時代が到来したと思っている。
 
 
私たちの診療室でも、齲蝕の軽症化が進むとともに、齲蝕予防管理を主訴として来院する患児が増加し、CAT値の分布でも、齲蝕治療の主訴群に対して、齲蝕予防主訴群では、+3が減り、+1が増加している(図3)。

 

図3

 

まさに齲蝕治療を主とする歯科医療から、予防管理が主たる歯科医の役割となりつつある現在、齲蝕活動性試験の見直す時期に来ていると言える。

 

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※図1:CAT21テスト

※図2:1歳6か月児において齲蝕活動性が高い小児ほど、半年後に齲蝕が初発するものが多い。
    したがって、ハイリスクグループをスクリーニングし、重点的に指導することによって効果的な齲蝕予防指導を行なうことができる。

※図3:主訴と分布 齲蝕予防を主訴として来院する児は、齲蝕活動性が低い者が多い。